音が鳴った方角を見るが、誰がいるかは確認できない。誰が行くか、アイコンタクトで白石が先頭に立ち、ユウジが後ろへ周る。千歳は余裕あり気に私の隣に立ち、コソッと声をかけてきた。
「大丈夫ばい」
「誰か知ってるん?」
「入れとるんば見たけんね」
それが前に家の前でウロウロしていた時のことなんだろうなと思った。じゃあ誰なのか教えてほしいし、二人に大丈夫だって言ってあげたら良いのに。
そっと動く白石からある程度距離を置くユウジ。きっと逃げられた時すぐに動けるようにだと思う。緊張感の走る中、相手はあっさりと表れた。
「先輩らなにしてんすか」
「財、前?」
「はあ、そうっすね」
「いや、え?今なんで写真撮ったん?」
いつもと同じ様子の財前にみんな呆気にとられる。きっと携帯で撮ったんだろう、手で握ってるしカメラランプが光っている、まだ撮るつもりなのだろうか。
「先輩らなんかコソコソしてるし、最近のみょうじ先輩なにかに怯えてるぽくてかわいそうやったから証拠写真撮ってました」
そう言うと見覚えのある写真、もとい画像を私に見せてきた。
「みんなみょうじ先輩のあとつけてるんすわ」
「それ、うちの郵便に入ってた」
「気をつけろって注意喚起で入れたんです」
当たってたでしょ?とあざとく首を傾げる財前だが、いつものように可愛いねなんて言ってられない。
「あの手紙も財前?」
「それはなんのことか知らないっすわ、俺入れてたん写真だけなんで」
「それなら一言あっても良くない!?」
「俺のことも避けてましたやん」
「メモとかあるやん!写真だけ入れられても恐怖でしかないからね!?!?」
「えー……」
俺頑張ったのに褒めてくれないんだ、と言いたげな顔をするものだからついごめんと謝ってしまいそうになった。すぐさま、いや私悪くないよなと我に返る。財前なりの優しさだったことを受け止め、「これで許したる」と思い切り両ほっぺたを引っ張ってやった。
「ええな」「ずるいわ」「俺もしてほしか」という声が聞こえてきた気がしたが無視した。
「ほな、残る問題は手紙か」
ユウジがそう呟くとみんな不満そうな顔をしていた。
「さっきから手紙ってなんの話なん?」
「俺もそりゃ心当たりがなか」
「みょうじ先輩、持ってないんすか?」
みんなになんだなんだと聞かれこの際だと話すことにした。物はないけど画像ならある、千歳に携帯を返してもらってフォルダを開く。それを見せようとすると我先にと取り合いがはじまったので、転送することにした。
「見てへんやつもあるやん」
「こわか〜」
「略奪でもしたんですか」
感想はそれぞれだったが、手掛かりはないかと拡大して隅々まで見ているとユウジが「あ」と声を漏らした。
「どないしたん」
白石の問いに、まさかそんなとブツブツ言っている。
「はよ言うてくださいよ」
「気になるばい」
急かされて言いづらそうに口を開いた。
「はじめ内容に気取られて気づかんかってんけど」
「うん」
「これ、どっかで見たことあるなあ思って」
「やから、なんなんすか」
肝心なところを言えないでいるユウジにずっと黙っていた私も催促する。
「ユウジ、お願い」
「……ちゃうかもしれんで」
「わかったからはよ」
「これ、小春の字に似てへん?」
全員言葉を失った。
「俺、部誌持っとる」
白石が、小春に頼んだ日があるんやとそのページを探す。そんなことないと思いたいのに、言われてみれば思い当たる少しだけ癖のある字。はやまる心臓に息苦しくなる。白石の指が止まった。みんな一斉にのぞき込むと時間が止まったように感じた。
「小春、連れてくる」
ユウジがそう言ってこの場を離れようとしたが相手からやってきた。
「その必要はないわよ」
「小春……」
「小春ちゃん……」
自然と私を囲うようにみんなが集まる。なにかされるとは本気で思っていないけど、念のため。もしくは私を安心させるためなんだと思う。確かにホッとしたけど、その反面小春ちゃんに悪い気がして一歩だけ前へ出た。
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