「まーそんなわけだからさ、みょうじと仲良くしよーぜ」
「すげえザックリきたな」
何が起きているかというと、丸井が私と出会ったところから漫画の説明をしてくれたのだが、それが適当すぎてジャッカル桑原は困惑してるってわけ。
「それでねジャッカル桑原」
「ジャッカルで良いよフルネームとかやめろよ」
「それでねジャッカル」
「おお」
「ジャッカル店あるやん、雇って?」
「え、え!?」
「無理なん?」
「いや俺が決める事じゃないから……」
「ほな今からジャッカルのお父さんに挨拶に行こう!ジャッカルの嫁です!」
「嫁かよ!」
「えーなまえさんジャッカル先輩が良いんすか!?俺の事だって好きですよね!?」
ぎゃいぎゃい。
一つの事をやるのにどうしても人の何倍もかかる。
結局家を出たのはどっぷり外が暗くなってからだった。
「こんな遅くに歩き回るなんて不良やな」
「誰のせいだ」
「私ちゃうやん切原が意味わからんことで」
「俺っすか!?」
「お前らうるさいから」
ここでも時間を気にせずわいわいジャッカルの店へ向かう。
店の裏口についたらついたで、誰が行くか待つかでもめていると裏口がガチャリとあいた。
「おうジャッカル帰ってきたのか」
「あー……いや」
「お友達も一緒か?飯食って行きなよ」
「「「え、良いんですか?ごちになりまーす!!!」」」
「お前らな!」
いやあ働くなら味とか商品知らないとあかんからね!
美味しい美味しいもぐもぐもぐもぐ。
「ところでお嬢ちゃんは息子の彼女かい?」
「「「ぶっふうううう!!!!!」」」
あぶねえ、私もふきかけた。一応乙女やからそんな失態はしないさ。うんうん。
「私色々あって一人で生きていかないといけないので雇ってください!できれば住み込みで!」
そう言うと私はカウンターに両手をつき勢いよく頭をさげゴンっと打った。その衝撃で倒れたお茶が切原にかかり熱いと騒いでいる。私も見たいとうずうずしたが頭を下げ続けた。
「ちょうど人手足りないからそれはありがたいね」
「ほんま!?やったあ!!!!」
両手をあげたらばんざい。
私はバンザーイをしながらバンザイバンザイサンキューバンザーイと歌った。
「でも住み込みは……空いてる部屋がないんだわ」
その両手を膝の前でくんでいじける。
くそうヌカ喜びや。
「心配すんなよい、部屋なら俺に考えがある」
ポンと頭を撫でられ丸井を見ると任せろと親指を立てられた。
「ま、丸井〜!!!」
そのまま抱きついても切原と違って背中をよしよししてくれた。
ああ、ふにふにしてる癒される。
ご飯を食べバイトの説明を受け制服やらを貰い書類にサインをすると私はまだみんなのいるジャッカルの部屋へ向かった。
「よう」
そこにいたのは
「にににににににににおたんんんん?!?!?!」
「プリッ」
ほ、本物。私は手を伸ばして恐る恐る近づこうとしたが「よくわかんねーけどなんか危ない」とみんなから邪魔をされた。
におたんは若干顔色悪く小さくなっていた。
「なになになに私に会いに来てくれたの?」
「呼ばれたから来ただけじゃ」
「はあんっ!におたんが返事してくれた!」
「きっしょ」
「きしょいいただきましたあ!ありがとうございまあす!」
「仁王だめだこいつに何言ってもポジティブに変換される」
「帰って良いかの」
「まあそう言うなよ」
ようやく落ち着いて話を遡って聞くと私の住む場所を見つけるために来てくれたそうだ。
でも探すのは私達じゃない。
なんかこの辺りで私は眠くなったのでお風呂に入らずそのままジャッカルの布団へダイブした。
聞こえてくる声が子守唄のようで。
1人じゃないんだと安心できてすぐに寝てしまった。
朝起きたら誰もいなかった。
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