守護霊7

実は前回リョーマパパと連絡先を交換していた私。

そろそろ冬休みだなあとか、リョーマはクリスマスは部活のみんなで過ごすのかなあとか、そんなこと思いつつ聞くことができなかった。
でもリョーマパパに聞くのってなんか違うしな、と連絡先を開いたまま何もできずにいた。(というかリョーマの連絡先が知りたい)


すると持っていた携帯が震える。
そこには先程から開いていたリョーマパパの文字。
(え、間違えてコール押してしまったか!?)と焦りつつ出る。

「はいいいい!」

すると『なまえちゃん、今日こねーの?プレゼント悩んでんのか?』って聞かれて「クリスマスは部活のみんなで過ごすのかと思ってました」と答えた。

『明日はそうかもしれねーけど、今日は家にいるぜ。おいでよ、ケーキも菜々子ちゃんが作ってくれたし』

「お、おおおおお邪魔して良いんですか!?」

『もちろんだよ〜。好きな奴の誕生日は祝いたいもんだろ?協力するぜ』

「た、誕生日……?」

『……今日はリョーマの誕生日だ』

「えええええええええええ!?!?!?!?」

なんてこった!
好きな人の誕生日も知らなかっただなんて!
今すぐプレゼントを買って家に行かねばならない!!
私はお気に入りの服を着て家を飛び出した。



この前ぶらついていた時に、リョーマに似合いそうだなって思った服とリストバンドをもう一度見て(よし、こっちにしよう)通常のプレゼント包装にしてもらった。

(いつでも身につけれるしいくつあっても邪魔にならないしなんだったら試合に連れて行ってもらえるかもしれないし!!!)

プレゼントはこれで良かったんだ、と自分に言い聞かせながら、いつもと違うドキドキ感が高まるのを誤魔化すようにリョーマの家まで走った。(ちなみに手土産には紅茶の葉っぱを買った)



初めてピンポンを鳴らすので、何度も手をインターホンに近づけては引っ込めるを繰り返す。

(だ、駄目だ……電話しよう)

どうしても勇気のでなかった私は、リョーマパパに電話で着いた事を告げ家に上げてもらった。

「なんだよ勝手に入ってきたら良いのに」

「そ、そんなこと……次からします!」

「するのかよ!」

わっはっはと笑うパパさんはとても楽しそうだ。

「もう昼だっつーのにあいつまだ寝てんだよ、この前のアルバム続き見るか?」

「見ます見ます!!!!!!」

リョーマの寝顔も気になったが、起きてきたら見れないことはもう知っているので、今がチャンスとばかりにお願いして出してもらった。

「これがテニスをちゃんと始めた頃だな」

「この子リョーマそっくり!」

「名前も似てるんだぜ。リョーガって言って、あいつの兄貴だ」

「おにいいいいいさんんん!?」

「こいつはこいつでテニス頑張ってんだ」

「兄弟でテニスするんだ」

「リョーマはいつも負けてばかりでな」

「ええええ、想像つかない!」

などと大いに盛り上がった。盛り上がりすぎてリョーマが煩いと起きてきて「なんであんたがいるの」ととても不機嫌な顔になった。

そこにリョーマママが来て「御飯の用意するから部屋で待ってて」と言うので遠慮なくリョーマの部屋へ。

部屋へ…………ついに外から覗くだけだった部屋へ入る!!!!

荒くなる鼻息を誤魔化すことができず、リョーマに「本当に嫌なんだけど」と悪態をつかれながらも連れて行ってくれた。



まあ部屋に入って真っ先にすることっていったら、とりあえず舐め回すように部屋の中をチェックして、ベッドに飛び込み思い切りにおいを嗅ぐことだよね!!!

思い切りダイブしてスーハーしているとベリッとはがさた。

「何やってんの」

「リョーマのにおいいいいいいいいい」

「…………」

「起きたてだからぬくもりがあああああんんん!!!!」

「帰って」

「嫌だああああ今日は大事な事があって来たのですから!」

「なに?」

不思議そうな顔をしているので(今言うの?まだ堪能しきってないのにこのタイミング?)私も戸惑いつつ勇気をふりしぼって買ってきたばかりのプレゼントを差し出した。



「産まれてきてくれてありがとう」



「……誕生日、知ってたんだ」

「パパさんに聞いたよ!あ!!!ママさんにも産んでくれてありがとうって言わないと!紅茶も渡してない!」


恥ずかしくなったので言い訳をしながら部屋を飛び出した。
「御飯にするわよー」のママさんの声にリョーマが降りてきた時、その手首には先程渡したリストバンドがつけられていて私は嬉しくて泣いた。






リョーマ、誕生日おめでとう!



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