守護霊6

休みの日、いつもならリョーマの部屋を覗くんだけれども。
今日はどうもお留守らしくどこを覗いてもいなかった。
なので私はとぼとぼ暇潰しというかあてもなくブラブラしているのだ。
あーあの服リョーマに似合うなあ、とか。
このリストバンド可愛いなあ、とか。
会えなくても頭の中はリョーマでいっぱいである。



「あれ、お嬢ちゃんじゃねーか!おーいなまえちゃん!」



聞き覚えのある声に振り向くと「リョーマパパ……」と、綺麗な女性と清楚な女性。

「なにやってんだ?今日はリョーマの所に行かねーの?」

「どうやら出掛けているようですれ違いました」

「連絡してやろうか?」

「いえ、それはズルしてる気がするので!」

ズルってなにとか、ついついリョーマパパと盛り上がってしまった。
そして遅ればせながら挨拶をする。

「そうだ、こっちは俺の妻でリョーマの母さんだな。こっちはリョーマの従兄弟の奈々子ちゃん」

「こっこっこんには!リョーマ、リョーマ君と同じ学校の2年のみょうじなまえです!」

リョーマいないけどこれってもしかして親に挨拶で公認でかなり良い感じじゃない!?
しかし興奮と緊張のあまりかみかみである。

「こんにちは、元気良いわね」

「俺ら今から飯行くんだけどなまえちゃんもどう?」

「あら、良いわね。学校でのリョーマの話聞かせて」

「よ、よ、喜んで!!!」

流れで一緒にご飯を食べることになった。
良いのかなって思ったけどリョーマのこと聞けるチャンスだし好きな人の家族とは仲良くなりたいのが乙女心である。

「なまえちゃん、今から和食のお店に行くつもりだったんだけど平気かしら」

「大好きです!リョーマ君は洋食派ですか?」

「朝御飯で和食出したらテンション低くなるわね」

「へえ!どっち想像しても似合うなー!」

「飯に似合う似合わないってあんの?」

「ありますよー!どっかの俺様がかっぱ巻きとか想像できませんもん!」



行く道中も食べてる時も話は絶えず楽しい時間を過ごせた。



「美味しかったー!ご馳走さまでした!!!」

店を出て大きくお礼をする。

「なまえちゃんが本当に美味しそうに食べるから私もつられていっぱい食べちゃった」

「やっぱりなまえちゃんはおもしろいなー楽しかったわ」

「良かったらまた一緒に食事しましょうね」

「私も楽しかったです!また一緒に食べたいです!」

「リョーマいなくてもピンポン鳴らせよ、茶くらい出すぜ」

「えー!良いんですか!?そうします!」

帰り道も話は止まらなくてついつい足がゆっくりになる。
駅前まで来てようやく別れた。
私はリョーマ家族が見えなくなるまでずっと手をふっていた。

リョーマの事聞こうと思ってたのに自分が喋ってばかりだったなと今になって思い出す。
でもみんな楽しそうに聞いてくれた。
きっと彼の事だからあまり自分の事は話さないのだろう。
今度は家遊びに行っても良いって言われたし!
その時にまた写真見せてもらいながら話聞いたら良いよね!

私はスキップをしながら帰った。











のを遠くからリョーマに見られているのに気がつくわけもなかった。

「やっぱり変な人」



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