続きを促して良いような内容じゃなさそうだが、気になって仕方がない。なるべくゆっくり優しく声をかけた。
「それで、なんて言われたんだ?」
「明日、帰ってくるからあんたも帰るわよって」
「……え?それだけ?」
コクリと頷く姿を見て、なんでそんなに嫌そうなのかがわからない。
「良かったじゃん」
「良くないもん!」
すぐさま大きな声で否定されて驚いた。こいつ大きな声だせるんだ……じゃなくて、やっと家に帰れるのにどうしたというのか。
「嬉しくねーの?」
「だって……家に帰っても一人だもん」
「親帰ってくるんだろ?」
「朝早いし夜遅いもん、丸井のお母さんみたいに行ってらっしゃいって言ってもらえないし、お父さんみたいに今日はどうだったって聞いてもらったことない。それに弟君や丸井みたいに遊んでくれる人もいない」
学校でも家でも大人しくてつまらなさそうで、声をかけてもやめてほしそうにしていたのに、本当は嬉しかったってことだ。冗談まじりに嬉しそうにしてただろと言った時も、そうでもない反応していたから違うのかと思っていた。わかりにくすぎるだろ。
「丸井の言う通り友達つくれば良かった、また一人になっちゃう」
ポロポロ泣きながらここにいたいと言う。母もこの本音を聞いたかはわからないが、たぶん気づいたんだろう。だからここを俺に任せたんだと思う。
「友達、いるじゃん」
「え?」
「俺も、幸村君も真田も柳もジャッカルも仁王も友達だろい!それに赤也なんか親友の域だろ!だから泣くな」
「友達……」
「そう、友達……ってなんだよその人差し指!やらねーぞ?俺はやらねーぞ!?」
ゆっくり差し出してくる人差し指。やらないと言っているのにその手をひっこめない。
「あーもう!一回だけだからな!」
仕方がないのでそっと人差し指を合わせるとみょうじは声をだして笑った。
「ふふふ、友達だ」
「そ、だからいつでも」
「あは、あははは!あははははははは!!」
「ちょ、だからその笑い方やめろって」
「ふう……また遊びに来ても良い?」
「当たり前だろい」
「ありがとう」
「おう」
こうして謎の宇宙人は元に家に帰って行った。たった数ヵ月だったがすごく濃い時間を過ごした気がする。無口だったのにいなくなるととたんにさみしい感じがして、また遊びに来たら明るく出迎えてやろうと思った。
「で、なんでいんの?昨日の感動的なお別れは?」
「……別の仕事が急に決まって行っちゃった。またしばらくお邪魔します」
「ったく、しょうがねえな」
学校から帰ってきたら母と談笑しているみょうじの姿があった。昨日のことを思い出すと正直恥ずかしいというか照れ臭い。でも、ま、良いか。急な別れに挨拶ができなかったと言っていた赤也をはじめみんなにマインで今から家に来れないかと送った。たった一日の別れだったけどきっとみんな喜ぶはずだ。
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