そんなわけがない、わかっている。でもどうしても都合良く聞こえてしまう。だって、そんなの、それってまるで……。
「なんか、私を好き、みたいに聞こえる、よ?」
動揺を隠せないままそう伝えると、また大きくため息をつかれてしまった。
「そらそうや、俺が好きなん、みょうじさんやもん。こんなにアピールしてんのに全く気がつかへんねんもんなー」
「いや、え?え??」
「あー……仲良くなってから言うつもりやってんけど、みょうじさんが危機感なさすぎるから言うてもーたやん、どうしてくれるん」
「私告白されてるの?逆ギレされてるの?」
我ながら可愛くないが、素直に喜べる台詞ではなかった。怒られている感じが強すぎて、告白された好きだと言われたと照れる状況でもない。
「両方」
いたずら顔で笑う白石に、私が好きって本当なの?と聞きたくなる。
「腑に落ちぬ」
「みょうじさんの前ではなりたい自分ではおられへんわ、感情的になってまう」
困ったように頭をがしがしとする白石に「えー……」と間抜けな声がでた。なりたい自分というのは、みんなに見せている一般受けの良さそうな笑顔とか、穏やかな雰囲気とか、そういうことを言っているのだろう。
「ま、返事聞かんでもわかってるしな、今はまだクラスメートでおってくれへんかな?」
デジャブだ。
私はあれからやっぱり経験なんてなくて、彼とどうしていきたいかもわからなければ、彼の何が良いのかもわからないけど、あの時と絶対的に違うものがある。
私も、白石が好きだ。
「ごめん、それは嫌かも」
「……そっか。一応話してくれるし笑ってくれる時もあったから、クラスメートではいてくれると、思って、ました」
「私はクラスメートやなくて、恋人が良い」
「……え?」
友達にもなられへんのかと悲しそうに顔をしていたのに、目をこれでもかというくらい見開いて驚いている。
「確かに白石の事、初めは嫌いやったよ、でも白石と関わるうちに何が良いのか自分でもわからんけど」
「ちょ、なんやひどない?」
「でも、いつの間にか白石の事、好きになってたよ」
「好き……?」
ほんまに?と疑うのも無理はない、自分でも驚いているくらいなのだから。
「調子良いなって思われるかもしれんけど、白石が好きやで」
「ほんまに?ほんまに付き合ってくれるん?」
私の目をまっすぐに見て、両手を握ってきてほんまにと何度も問う白石。
「おん」
こんなに信じてもらえないくらい彼を傷つけてきたんだな、と今更気がついた。
「俺、みょうじさん以外には外面良いし誰にでも優しいし、曖昧で中途半端で、自分の意見よりもみんなをまとめる事が優先な男やで」
「めっちゃ根にもってるやん、ごめんなさい」
「それでも良いん?」
確かにそう思ってたし事実だしみんなに優しくするのは嫌やけど、今は私にだけ素のままでいてくれるの知ってるから、大丈夫。
「白石こそ私でええの?かわいげないのに」
「強がってるだけなん知ってる」
「なに、それ」
「俺にもってないものたくさん持ってて、良いなって思ったんやで」
はじめから嫌いだったんじゃなくて、ただのやきもちなんだ。と考えたらスッキリする部分が多すぎるが、それはまだ言えない。
もう少し素直に会話ができるようになったら、あの時本当はねって、話せたら良いなと思う。
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