素直になれない7

そんなわけがない、わかっている。でもどうしても都合良く聞こえてしまう。だって、そんなの、それってまるで……。

「なんか、私を好き、みたいに聞こえる、よ?」

動揺を隠せないままそう伝えると、また大きくため息をつかれてしまった。

「そらそうや、俺が好きなん、みょうじさんやもん。こんなにアピールしてんのに全く気がつかへんねんもんなー」

「いや、え?え??」

「あー……仲良くなってから言うつもりやってんけど、みょうじさんが危機感なさすぎるから言うてもーたやん、どうしてくれるん」

「私告白されてるの?逆ギレされてるの?」

我ながら可愛くないが、素直に喜べる台詞ではなかった。怒られている感じが強すぎて、告白された好きだと言われたと照れる状況でもない。

「両方」

いたずら顔で笑う白石に、私が好きって本当なの?と聞きたくなる。

「腑に落ちぬ」

「みょうじさんの前ではなりたい自分ではおられへんわ、感情的になってまう」

困ったように頭をがしがしとする白石に「えー……」と間抜けな声がでた。なりたい自分というのは、みんなに見せている一般受けの良さそうな笑顔とか、穏やかな雰囲気とか、そういうことを言っているのだろう。

「ま、返事聞かんでもわかってるしな、今はまだクラスメートでおってくれへんかな?」


デジャブだ。
私はあれからやっぱり経験なんてなくて、彼とどうしていきたいかもわからなければ、彼の何が良いのかもわからないけど、あの時と絶対的に違うものがある。

私も、白石が好きだ。

「ごめん、それは嫌かも」

「……そっか。一応話してくれるし笑ってくれる時もあったから、クラスメートではいてくれると、思って、ました」

「私はクラスメートやなくて、恋人が良い」

「……え?」

友達にもなられへんのかと悲しそうに顔をしていたのに、目をこれでもかというくらい見開いて驚いている。

「確かに白石の事、初めは嫌いやったよ、でも白石と関わるうちに何が良いのか自分でもわからんけど」

「ちょ、なんやひどない?」

「でも、いつの間にか白石の事、好きになってたよ」

「好き……?」

ほんまに?と疑うのも無理はない、自分でも驚いているくらいなのだから。

「調子良いなって思われるかもしれんけど、白石が好きやで」

「ほんまに?ほんまに付き合ってくれるん?」

私の目をまっすぐに見て、両手を握ってきてほんまにと何度も問う白石。

「おん」

こんなに信じてもらえないくらい彼を傷つけてきたんだな、と今更気がついた。

「俺、みょうじさん以外には外面良いし誰にでも優しいし、曖昧で中途半端で、自分の意見よりもみんなをまとめる事が優先な男やで」

「めっちゃ根にもってるやん、ごめんなさい」

「それでも良いん?」

確かにそう思ってたし事実だしみんなに優しくするのは嫌やけど、今は私にだけ素のままでいてくれるの知ってるから、大丈夫。

「白石こそ私でええの?かわいげないのに」

「強がってるだけなん知ってる」

「なに、それ」

「俺にもってないものたくさん持ってて、良いなって思ったんやで」



はじめから嫌いだったんじゃなくて、ただのやきもちなんだ。と考えたらスッキリする部分が多すぎるが、それはまだ言えない。

もう少し素直に会話ができるようになったら、あの時本当はねって、話せたら良いなと思う。


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