カルナ

※ 瑠綺さん企画のワンライに参加して書いたやつです。ツイッターで #FGOyume60m_wrをタグ検索すると幸せになれます。手直ししてないので色々許してください。楽しかったです。





真っ白なので染みが出来やすそうな人だなと思った。髪も肌も白くて、それで細い。初めて見たのは食堂で、職員や他の英霊達と同じく注文の列に並んでいた彼は、何故か声をかけられ頼まれるまま前を譲っていたので、普通なら5分やそこらで頼めるものを30分近く並んでいた。彼が頼んでいたのはカレーだった。
次に見たのは廊下だった。カルデアの戦闘員として人理を救うためやって来た彼は、何故か廊下の掃除をしていた。訳が分からずなんでですかと声をかけたら、暇なため何でもいいからできることは無いかと聞いたと返された。それどころかこれも時期終わるからお前も何かないかと言われてしまった。丁重にお断りした。
その次に見たのはバレンタインデーだった。見たというか探した。チョコを渡したら断られた。泣いた。けど、デスクに突っ伏して落ち込んでいた所を呼びかけられた。先程はすまなかったと言われ、チョコを受け取ってくれた。嬉しかった。それから廊下や食堂ですれ違う度、挨拶をするようになった。
そうして何度か顔を合わせてようやく、目が赤いんだなと気づいた。いや、そんなの最初から知っていたけど、なんとなく彼のイメージカラーが、真っ白から真っ赤に変わっていた。吹いたら飛んでいってしまいそうな儚げなイメージから一転、燃えるような赤を感じるようになった。


というのを、馬鹿正直に本人に話した。要するに、告白をした。いつも見ていました、という意味で、包み隠さず言ってしまった。
目の前のカルナさんは、目を大きく開けて驚いているみたいだった。基本、無表情だけど結構表情は豊かだ。この顔は私が熱心に研究をしてプレゼントしたスパイスカレーを食べた時も見た。
「そうか……………」
沈黙がやたら長い。冷静に考えても、いずれここから去る存在の彼らに想いを伝えたって意味などないとは分かっていたけど、言ってしまったのだ。もうどうしようもない。
でもやっぱ言うんじゃなかったなと後悔しまくっていたら、案の定「すまない」と聞こえてきた。そりゃそうだ。
「この身は成すべきことがある」
ですよねそうですよねそもそもここでいいえ以外を選ぶなら最初から好きにはならなかったんだ。大人しく頷き、ありがとうございますと踵を返そうとした。
「だが」
彼の強い意志を表したような、真っ赤な目がこちらを見ている。吸い込まれるその色彩に、じっと目を凝らした。
「俺は、お前がいるこの世界を守ると、今ここで誓おう。それが、今の俺にできる答えだ」
その言葉を聞きながら、ああなるほど、と思った。染みなんてできるわけが無い、彼はこんなにも綺麗な赤なんだから。