14−1「博識の理由」

ミズキ:「この街のお医者さんって、やっぱりギルドを相手にすることが多いんですか?」

マルコ:「そうだね。喧嘩もあるし、結界の外はどうしても魔物が出るから、怪我人の手当てに街の外へ出ることもあるよ。もちろん、ぼくは戦えないから護衛を何人かつけてもらうことになるけど」

ミズキ:「た、大変ですね」

マルコ:「まあね。でも、学ばされることも多いよ。今回の件で、世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあることも知れたしね」

ミズキ:「私、さっきのお話を聞いていて、マルコ先生って実は学者さんなんじゃないかと思ってしまいました。お医者さんってそういう研究もされるんですか?」

マルコ:「はは。そんなたいしたものじゃないよ。若い頃、〈天地の窖〉というギルドに所属していたことがあってね。なまじ治癒術の心得があったものだから、色々と連れまわされるうちに少しだけ普通の人よりも詳しくなってしまっただけで、だいたいが聞きかじりなんだ。ぼくなんて魔導士や研究者に比べたらまだ毛も生えてないくらいさ」

ミズキ:「〈天地の窖〉って、何をするギルドなんですか?」

マルコ:「そうだな。今はどうかわからないけれど、色々やったよ。各地の測量とかエアルの調査、定期的に地形の変移を調べたりね。ひとつの街に留まっているよりも、荷馬車の上にいることのほうが長かったかもしれないな」

ミズキ:「荷馬車?」

マルコ:「研究用の機材はどれも大きくて重いんだ。あ、そうだ。たしか探知用の魔導器がどこかにしまってあったような……エアルを充填したらまだ使えるかも」

ミズキ:「探知用の魔導器? そんなものもあるんですか?」

マルコ:「簡易的なものだけどね。エアルの濃度が一定を超えると警報を鳴らしてくれる代物なんだ。細かい数値は測れないけど、調査員はみんなお守りとして持たされる。それがあれば、気づかないうちにエアルが濃い場所に足を踏み入れてもすぐに逃げ帰ってこれるというわけだね」

ミズキ:「なるほど。たしかにそれなら安心ですね」

マルコ:「よかったらあげるよ」

ミズキ:「いいんですか?」

マルコ:「もちろん。もともと使っていなかったわけだしね。……まあ、問題はその魔導器があのキャビネット≠フ中にあることなんだけど。はは、一緒に探してって言ったら彼女にまた怒られるんだろうなあ……この間もいい加減にしなさいって叱られたばかりなんだ」

ミズキ:「はは。楽しみに、してますね」

ミズキ:(あまり期待しないでおこう……)

(2024.11.26)
最終加筆修正(2025.05.29)

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