春到来










「ごめんなさい 桜木くん。あたし、
バスケット部の小田くんが好きなの。」

Σ「ズッコーーーン!!!(泣)」

「「「「おおっ!(汗)」」」」



中学最後の告白。
桜木花道は50人目にフラれて和光中学を卒業した。
いつも通り桜木軍団の4人プラス1人は冷やかしたが
4名に頭突きしてしみじみと悲しみに浸りその場を去った。











ーーーーーー…*°





「また同じクラスで良かったねー!」

「3馬鹿とは分かれたがな。
まあ、全員同じクラスは無理だろうけど」



高校入学して同じクラスになったのは洋平と花道
他3人は他クラスになったが別に良い。
境明日香は水戸洋平と同じクラスなら良いって位
洋平以外眼中に無いのが正直な話だ。



「花道は相変わらずかぁ」



洋平が親指で指した先には赤髪で目立つ花道が
窓側の一番後ろで窓の外を眺めていて
中学最後の失恋がまだ心に深く傷付いているらしい。



「今回のはダメージ大きいのね。」

「50人だからなぁ。」

「よう洋平 どーだ 花道の様子は!?」

「あ、大楠。」

「まだ立ち直ってねーな
自分のカラに閉じこもってるよ。」

「高校入ったら立ち直ると思ったんだけどなあ」

「どーもアイツは性格が内向的なんだよな〜
あんな赤い髪してるクセによ」

「よーー 花道 元気だせや!
バスケット部がなんでいバスケット部が!!」

「ぬ…」ピクッ



ガツーン!!



「駄目だよ大楠〜 バスケットは今禁句なの禁句。」



おでこに頭突きをされてシュゥ〜と煙を立て倒れる大楠
それだけなら良いが花道は暴走し始めた。



「よー、いいのかよ。
休み時間にビスケットなんか食って。」

「バスケット…?」



ゴツンっ!



「もっとダイエットした方がいいぞ」

「バスケットした方がいい…?」



ゴツンっ!



「やめなよ花道ービスケットはともかく
ダイエットとバスケット全然違うじゃん。」

「バッ…!(汗)」

「あ、(汗)」

「ふんぬー!!(怒)」

「ぎゃあああ!女にまで手を出す気かお前はあ!!(汗)」



明日香の両肩を掴み構える花道に
明日香はギュッと強く目を瞑って身構えると、



「花道ストップストップ!相手は明日香だ!
女にまで手を出すほど落ちぶれてねーだろお前は!」

「ぬ…」



洋平が花道の腕を掴んで止めると、
花道は気が付いてスッと両手を離し、
しょんぼり廊下へ出て行った。



「た、助かった……(泣)」

「お前も気を付けろよ(汗)」

「だってぇ…」

「おい、あの子花道に近付いてねえか?(汗)」

「「え?」」



廊下を覗くと一人の女の子が
黄昏ている花道に明らかに歩み寄っている。



「あのぅ…スミマセン…バスケットはお好きですか?」

Σ「うええ!?(汗)」

「ふぬ…!!!!(怒)」

ピタッ



「バスケットは…お好きですか?」

ピシャーン!!

「(モロ好みだ…)」



花道にカミナリが落ちたような衝撃が走り、
その様子を5人は見ていた。



「背が高いですね。
流川くんとどっちが大きいかな?」

「ルカワ?」

「誰だ?」

「「「知らん。」」」

「うわあ 凄い筋肉!まあ脚も…!
スポーツマンなんですね!」

「イ…イエべつに…///」

「やっぱりスポーツマンの男の人って素敵ですよね。
バスケットはお好きですか?」

「大好きです!スポーツマンですから!///」

「「「「おおー!立ち直ったぞ!」」」」

「(春が来た!!(泣))
このオレにもついに春が来たあーーーっ!!(泣))」

「さっきアタシには頭突きしようとしたくせに!(怒)」

「まあまあ。立ち直ったんだから良かったじゃねえか。」

「アタシが不機嫌になった!(怒)」

「そうか。じゃあ機嫌直さないとな。」

「!///」



そう言うと洋平は明日香の頭を優しく撫でる。
明日香は顔を赤くして洋平を見るが
本人は涼しい顔をして笑っていた。



「むぅ〜…ずるい。」

「こうやると機嫌直るだろ昔から。」

「子供扱いして!」

「ははは!」



明日香は洋平の胸元をトントン叩いたが
喧嘩慣れしてる男には子どもが駄々をこねている程度の
力としか感じていなくて余裕だった。

花道に声を掛けたのは赤木晴子と言うらしい。
花道はすっかり復活してデレデレである。



「良かったな花道!高校生活に光が見えてきたな!」

「へへ…よせやいてれるべ///」

「これが新たな大記録への第一歩だな!」

「へへ…よせったらてれるべ///」

「おおっ!!」



花道は浮かれて洋平の言葉も聞いていなかった。



「俺は、スポーツマンになる!!」

「おお〜〜〜っノッてるな花道!!」



花道の春が到来し、男たち4人は
また面白くなってきたかと
そういう目をして花道を見ていた。



「(それにしてもあの晴子ちゃん
よく花道が怖くなかったなぁー
アタシでも初対面ガッツリ引いたのに。)」



明日香が中学一年生の春
地毛の明るい髪が原因で
先生には髪を染めろと怒鳴られ
同級生には調子に乗っているといじめられ
学校に行かなくなった時
立ち寄ったコンビニで高校生に絡まれた所を
桜木軍団に助けられ、洋平と同じクラスだった明日香は
俺たちといればいいと洋平に誘われ学校に行き
中学卒業して高校まで通える事になった。

言わば彼らは明日香にとっての恩人なのだが
赤髪が目立つ花道は初めは怖くて
洋平の後ろにいつも隠れていたのが懐かしかった。













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