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美味しい七尾の手料理を食べた後
知夏は一人体育館に来るとトビがドリブル練習をしていた。



「ご飯食べないのー?奈緒がせっかく作ったのに」

「後で食う。なんじゃ?練習嫌いなんと違うんか。」

「地味な練習はね。シュート練は好きだよ 昔から。」



知夏はそう言ってドリブルをついて
スリーポイントラインからシュートを打つ。
それは綺麗なアーチを描いてゴールに入る。



「広末さん?」

「!、車谷君も自主練?精が出ますね(笑)」

「日課なんだ。広末さんもシューターなの?」

「別に決まってないよ。
中学はGもやってたしFもやってた。
オールマイティな交代要員?」

「スタメンじゃなかったんか。」

「あたしよりも上手い先輩が10人いたからね。
先輩が引退して直ぐスタメン入ったけど
強豪校は合わなくて直ぐ辞めちゃった。」

「え…?」

「宝の持ち腐れじゃの。」

「練習嫌いだからサボり癖があったんだよねー
だから今日練習外れてた先輩らの気持ちも良くわかる。
でも、毎日毎日地味な練習を後ろでも必死についてくる子がさ
センスが無かったのは確かになんだけど、
やっと試合に出れた時たった一つの小さなミス 2点の失点だけで
監督に人生まで否定されるような罵声浴びられたのを見た時
"ああ、この世界とはあたしは合わないな"って思った。」

「……」

「あたしが憧れた人は楽しそうにバスケをする人でさ。
あのままいたらあたしはバスケを嫌いになりそうだったよ。
だから今の感じが気楽で好きなんだよね。」



知夏はそう言ってシュートを放つと
ゴールは僅かに逸れて外れてしまった。



「ありゃ…」

「でも負けたら悔しくて楽しくないんじゃ…」

「練習してないんだからしょーがないって思うよ。
努力している人が報われるべきなんだからさ。」



「……理由は分かった。でも納得は出来んの。」

「トビくん…」

「良いよ別に。あたしの事なんだから」



知夏はそう言って笑った。
空がシューティングをすると聞いて手伝う事にした。


片手で放つシュートは毎回綺麗な円を描く。
しかし身長のデメリットで深く膝を曲げている事が気になるが
口出しせず、ただボール拾いを200本分付き合ってあげた。







「はぁ…はぁ……もう限界!(汗)」

「凄いなー 200本もシューティングするなんて」

「こんなのまだまだ少ないほうだけど
さすがに疲れた…!」

「げー」



知夏は体力オバケにげーっと舌を出してドン引きする。



「…ちび助。このチームのことどう思う?」

「どう思うって…」

「ワシが行くはずだった高校はの、
全国から優秀な選手ばっか集まってきとったんじゃ。」



そう言いながら放つシュートは綺麗にゴールに入る。



「それでもその高校が全国制覇したことは、ただの一度もない。
それを考えたら、なんでこんなチームでって思う時もある。
遠いで、IHは。」

「……」



トビの言葉に黙る空達だがそこへ安原がやって来て
ボールハンドリングを教えて欲しいと自主的に聞きに来た。
やらされているという事ではなく
自分がやりたくてやっているという気持ちが
少なからず安原にはあった。

トビが安原に教えている姿を見て、
知夏は意外と面倒見が良いやつなのかと
トビの事を少し見る目が変わった。











ーーーーーー…*°






朝から騒がしかった。
それは起きたら茶木と鍋島の姿が無かったからだ。
しばらく経っても戻って来ず合宿から逃げたのだろう。
慌てる空と奈緒とは違い花園兄弟や安原は冷静だった。



「二人のこと探しにいきましょーよ!」

「やだよ。だってめんどくさいじゃん。」

「千秋君がそのうち戻ってくるって言ったのに
全然戻ってこないじゃないですか!
犬や猫と一緒にしないで下さいよっ!」

「ほっといたらええんじゃ
ヤル気のないやつがおっても邪魔なだけじゃ」

「そんな…!」

「お前はどーなんじゃ」

「!、それは…」

「それはお前もようわかっとることじゃろ」



トビはアップを始めた



「仮に迎えに行った所で
あいつらになんていうつもりだ?
やる気がなくてもいいから
IH目指しましょう?
それともIHなんかどーでもいいから
ゲームでもしながら面白ろ可笑しくやりましょう…か?」

「……そんなの、
どっちも言えるわけないじゃねいですか
だって千秋くん言ったじゃないですかっ
あの二人はバスケをちょっと面白いって思ってるんでしょ?
それはこれからもっと面白くなる
可能性があるってことじゃないですかっ
だったらそんなとこでバスケやめちゃダメですよっ!
やっぱり僕二人のこと探しに行ってきます!」



空は体育館を出てった



「そもそも無理な話なんだよ。
ど素人にいきなりIH目指すレベルの
練習量をいきなり熟せって言ったって。」

「じゃあ、何か?あんさんみたいに
適当に遊んで負けても笑ってテキトーにやれって言うんか?」

「そうとは言ってないじゃん。」

「言ってるようなもんじゃろ!」

「やめろトビ。女性にまで手を出せば後はない。」

「あの人達があたしと同じとは思ってもないよ。
不良なんて気に触る事があったらすぐカッとするでしょ?
それは人よりプライドが高いからに決まってんじゃん。
そんな人が負け続けの試合に笑えるわけない。
辞めるか。勝つまでやるかのどっちかだよ。」

「知夏ちゃん…」

「……偏見じゃそんなの。」

「いい事言ったつもりなのに。」

「自惚れんな!」

「知夏さん僕はプライド無いので不良じゃないですよ。」

「そこはプライド持っとけ!(怒)」



知夏に近づこうとする千秋を百春が止めた。
話の流れだとプライドは持っていて欲しかった。



少しして空が戻るとしょんぼりしていて
説得を二人は聞いてくれなかったようだ。
ダメなものは仕方ない。
練習するにも人数が少なすぎるが
ギリギリの5人でやるしかなかった。












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