Work Hard










七尾に誘われて藪内と一緒に銭湯に行った。
温泉は久々なので知夏は気持ち良さそうな顔をして
しっかりと肩まで使ってのんびりしていた。



「本当に良いんですか?マドカ先輩…」

「うん 二人が心配だし。あの男ども野獣だから。」

「実をゆーと私もそれが心配で…(汗)」

「だからあたしが来たんじゃん。」

「でも本当はもう一つ、
大っきな不安があるんですよね…
バスケの知識だけ集めたって
それだけで正しいコーチングが出来るわけじゃない
みんなの前ではさも自信ありげにしてるけど
今回の合宿だっていい成果がでるかどうかは
正直わからないんです。
でも私が弱気なとこ見せちゃったら
みんなに不安を与えちゃうし
嫌われても仕方ないって気持ちで
臨んではいるんですけど…」

「…数日の合宿1回でめっちゃ上手くなったら
今まで必死に練習して来た人達泣くけどね。」

「それはそうなんだけど…」

「責任転換するような人達だったら
この先もずっと怖い不良のまんまだよ。」

「……ありがとう知夏ちゃん」



七尾は少しホッとしたような表情で笑顔を見せた。



「あっつ…のぼせたー
先に牛乳飲んで待ってます」

「うん」



知夏はしっかり浸かり過ぎてのぼせたと先に上がる。



「広末さんと仲良いんだね」

「はい。同じクラスで1番最初の友だちです。」

「広末さんもバスケ凄い上手なのに
先輩が言うのもあれだけどなんでウチに来たんだろ」

「家が近いらしいですよ」

「そうなんだ。中学が立野って聞いた時びっくりしたよ。
この辺だと一番強い中学だったから。」

「家から近かったですから」

「早く帰らなきゃいけない理由があるの?」

「いえ…好きで楽器屋の店番してるらしいです。
知夏ちゃん 本当にバスケが好きなんです。
でも、優しすぎるから…」

「?」

「わ、私ものぼせてきちゃいました!
マドカ先輩はまだまだ浸かってて下さい!」

「ううん 私も出たいと思ったところだから」



七尾はまだ自分の口から知夏のやりたいバスケを
藪内に言うことは出来なかった。











ーーーーーー…*°




早朝 知夏は大きなあくびをしながら
男子と七尾と藪内と一緒に外周をしていた。



「な…奈緒ちゃん…なんであたしまで…(汗)」

「ほんとだよ…(汗)」

「だって走ると気持ちいいじゃないですか!」




そう言ってる七尾が一番初めにバテた。
藪内が七尾に付き添い何故が知夏が男子を追う事に。



「はぁ…はぁ……!
(走る練習が一番嫌いなのに奈緒の馬鹿…!)」

「なんじゃ 手抜きが好きなんじゃなかったんか。」

「勘違いしないで欲しいんだけど…!
試合で手なんか抜いた事ないよ あんたは例外。
あたしはこーいう地味な練習が嫌いなだけ!」



知夏はスピード落として自分と並んで話しかけるトビに
息を荒くして答える。



「いくらセンスあっても走りきらなきゃ意味ないの」

「人の事言えんの…?」

「IH行けるならなんだってやったるわ」

「(こいつまじか…)
だったら強豪校行けばいいじゃん」

「わしはここしかないんじゃ。」

「ふーん」



なんやかんや会話が出来ている知夏に
トビも弱音吐くだけで実力はある事に
余計気に食わない様子だが本人は気にしてない。

ランニングが終わり、皆がバテバテの中
知夏もバテて柔軟をする。
そして彼らはまた走るが知夏は藪内と一緒に
シャトルランのタッチ役をする。

茶木や鍋島は上手く止まれず藪内へ突っ込む中
空やトビ 百春はピタッと止まり切り替えれる。
千秋に限っては女子に触れるという意味で嬉しそうだ。



「なんで止まるだけで上手くいかねーんだ?(汗)」


「僕が見本見せてあげます!」


「あーしてこー!そしてこーです!」


「あーとかこーとかじゃ全然わかんねーよ(汗)」



空の説明では理解出来ず、安原達はトビの動きを見る。



「同じ人間の動きとは思えねえな…(汗)」


「馬鹿言えありゃ人間じゃねえ(汗」


「くっそー、どーやったらあんな風に動けんだ?(汗)」


「俺らこけて突っ込んでの繰り返しだぞ」


「膝とつま先があってないからじゃ。
早く回れんかったり上手く止まれんのは
足に正確に力が伝わらんからふんばれんのじゃ」


「膝の向きがズレたり前に出すぎたらすぐ修正する。
ターンは母子球に体重のせるんじゃ。
ゆっくりやるとこんな感じじゃ」


「おー、わかりやすい。さすが 誰かとは違うな」

「ほしたらもっぺん最初っから…」

「ちょ、ちょっとたんま!少し休憩させてくれ!!(汗)」


「ナニゆーとんじゃこれくらいで…」


「足が痛くて走れねーんだよ…(汗)」


「ちょっと見せて下さい」



七尾が茶木の足を見て目立った異変は無いが
疲労骨折につながる危険もある為 休ませる事にした。



「わかりました。
二人はコートの外で休んでて下さい」

「おお!やりい!!」

「ただし…」



二人にボールが渡された。



「?」

「今休んでていーって…」

「ええ、休んでてかまいませんから
ボールをつまんだり弾いたり
とにかくずっと触ってて下さい」



茶木と鍋島は少しサボりながらもボールに触れた。
二人の様子を見て知夏はある予感をした。

それは直ぐに的中する。














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