「良いじゃん!えっとじゃあ
部屋王を決めるってことで!!」
「部屋王」
「別に決めなくてもいいけどさ…」
三奈ちゃんのテンションが一段上がる。
透ちゃんはそのネーミングに引っかかっていて、
響香ちゃんは少しだけ距離を取っている。
(でももう流れ止まらないよね)
横目で少しだけ視線を落として
峰田くんを見下ろす。
(別の動機がありそう…)
分かりやすく表情に出ているけど、
部屋くらい別に良いからいっか。
そのまま何も言わずに視線を外す。
流れはそのまま男子側の続きへ。
エレベーターに乗り込む。
「爆豪くんと切島くんと障子くんだっけ?」
お茶子ちゃんが思い出すように言う。
(あ、そうだ)
自然と視線が切島くんへ向く。
「爆豪くんは?」
「くだらねえ先に寝るってよ俺も眠い…」
(え、早……)
思わず時計を確認する。
(まだ20時ちょっとだよね)
子どもでももう少し起きていそうな時間。
意外と規則正しい生活習慣なのかも。
「気を取り直して切島だね!!
ガンガン行こうぜ!」
三奈ちゃんの声で空気がまた明るくなる。
「どーでもいいけど多分女子にはわかんねえぞ。
この男らしさは!!」
勢いよく扉が開く。
視界に入ったのは――
(暑い……)
サンドバッグがまず目に入る。
その周りも、視界に入るもの全部が強い。
大漁、必勝、気合、男気。
(圧がすごい)
落ち着く、とは真逆。
(元気出そうではあるけど……)
「彼氏にやってほしくない部屋ランキング
2位くらいにありそう」
透ちゃんがさらっと言う。
(透ちゃん容赦ない)
思わず苦笑する。
切島くんは、
「そうだろ!?」
って言ってるけどちょっと涙目だ。
次は障子くん。
扉が開く。
(……何もない)
本当に何もない。
フローリング、布団、最低限。
座る場所も、物も、ほとんどない。
(掃除楽そう……)
生活感が見えない。
(普段何してるんだろ)
少し気になる。
そのまま5階へ。
瀬呂くんの部屋。
入った瞬間、空気が変わる。
(おしゃれ……)
色味、配置、家具。
全部がエスニック調で統一されていて、
モデルルームみたい。
(オーガニックとか好きそう……)
なんとなくそんなイメージが浮かぶ。
女子の反応も分かりやすい。
そして最後。
轟くん。
(どんな感じなんだろ)
自然と少し期待する空気になる。
「さっさと済ませてくれ。ねみい」
相変わらず淡々としている。
ドアが開く。
「和室だ!!」
「作りが違くね!?」
一斉に声が上がる。
(え、ほんとだ)
畳。
障子。
完全に別空間。
(ここだけ別の建物みたい)
違和感がすごい。
「実家が日本家屋だからよ。
フローリングは落ち着かねえ」
「理由はいいわ!」
瀬呂くんのツッコミ。
「当日即リフォームってどうやったんだお前!」
上鳴くんも続く。
「………頑張った…」
(頑張ったでどうにかなるんだ……)
思わず小さく息が漏れる。
現実的じゃないのに、本人は真面目。
「なんだよこいつ!!」
上鳴くんの声が響く。
その空気のまま、男子の部屋は一通り見終わる。
(全部違って面白いなあ)
同じ間取りなのに、全然違う。
(次は女子か)
自然と少しだけ背筋が伸びる。
(どうなるんだろ)
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