爆豪くんに聞きに行こうと決めたはいいけど、
当の本人は少し高い足場の上で
エクトプラズムと激しくやり合っていた。
コンクリートの隆起した地形の上。
普通に登るには遠回りになる高さ。
(うーん、回るのめんどくさいな)
そう思った私は、足元に光粒子を集めて、
ぽん、と一段。
さらにもう一段。
階段みたいに足場を作って、
そのまま軽く上へと上がっていく。
踏み込むたびに、淡く光が弾けて、
足元が一瞬だけ形になる。
(やっぱこれ便利)
そんなことを思いながら、
爆豪くんのいる高さまでたどり着いた。
「爆豪くん!」
「ああ”!?」
ちょうどそのタイミングで、
爆豪くんがエクトプラズムの分身を吹き飛ばす。
爆発音と同時に分身が消えた。
「チッ…んだよ!邪魔すんな!」
振り返りざまに怒鳴られる。
でも、いつものことだし特に気にならない。
「邪魔してごめんね!聞きたい事があったから
話しかけたんだけどいいかな?」
軽く手を合わせて謝りながら、
そのまま本題に入る。
「さっさと用件を言え!」
(はいはい)
テンポよく返される怒鳴り声に、
私はそのまま頷いた。
「必殺技考えたんだけど、
爆豪くんの爆破に近いなって思って、
参考にしていい?光粒子を一点に圧縮させて、
閃光と同時に解放して爆破させる技なんだけど…」
自分の中で組み上がったイメージを、
そのまま言葉にする。
一瞬だけ、間が空いた。
爆豪くんの視線がこっちに向く。
そのあと――
「はァ!?勝手にしろや!!」
やっぱりキレた。
でも、否定ではない。
(あ、いけるやつだ)
「いいの!?ありがとう!」
ぱっと気持ちが軽くなって、自然と声が弾む。
「いちいち聞いてくんな!」
「だって、そういうの気にするかと思って!」
「んな小さくねえわ!」
間髪入れずに返ってくる怒鳴り声。
でもそのやり取りが、
妙に噛み合っている気がして少し面白い。
周りで再生成されたエクトプラズムの分身が、
何も言わずにじっとこちらを見ているのも、
なんだか不思議な光景だった。
「つかテメェの技も利用して
必殺技とっくに出来てんだよ!」
「え?」
一瞬、言葉の意味を理解するのが遅れる。
(今なんて…)
次の瞬間、
「え!私の技参考にしてくれたの!?
どれ!?どれ!?見せて見せて!」
一気にテンションが上がる。
思わず一歩近づくと、
「近寄んな!見せねえわ!」
すぐさま拒否される。
「えー!いつか見せてよ!喜ぶから!」
めげずに食い下がる。
でもそれ以上踏み込むと本気で怒られそうだから、
一歩引いた。
「でも、じゃあーおあいこって事だね」
そう言うと、なんだかすごくスッキリした。
勝手に一方的に借りる感じじゃない。
ちゃんと“やり取り”になってる。
それが嬉しかった。
軽く手を振って、そのままくるりと踵を返す。
さっき作った光の足場をそのまま使って、
ひょいっと下へ降りる。
(勝手にしろって言ってたし)
胸の中が少し軽い。
(心置きなく必殺技考えよーっと!)
さっきまでよりも、
ずっとイメージがはっきりしている。
フラッシュ。
圧縮。
解放。
その全部が、一本の線で繋がる感覚。
(絶対いいの出来る)
自然と足取りも軽くなって、
私は再びトレーニングの方へと戻っていった。
✳︎
..