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寮でも裏方組の打ち合わせを終えて、
お風呂に入る。

今日はずっと文化祭の事を考えていた気がする。

照明の流れ。

タイミング。

轟くんの氷をどう反射させるか。

青山くんのレーザーとの合わせ方。

頭の中でステージがどんどん
形になっていくのが楽しかった。

お風呂から上がって髪を乾かし終える頃には、
身体もぽかぽかしている。

パジャマ姿のまま共有スペースへ戻ると、
ちょうどキッチンの方から爆豪くんが出てきた。

片手にはペットボトルの水。

どうやらバンド練習が終わったところらしい。

「あ!爆豪くんお疲れー!
バンド練習終わったの?」

声を掛けながら歩み寄る。

お風呂上がりだからか、まだ頬が熱い。

「あ?」

爆豪くんは相変わらず目つきが悪かった。

少し不機嫌そうに返事をしながら、
ペットボトルの蓋をプシュッと開ける。

「バンド練習の進み具合どう?ドラム完璧?」

気にせず続けて聞く。

すると、

「チッ…当然だろが。今はギターが
耳に教わってコード覚えてるところだわ」

と爆豪くんは水を飲みながら答えた。

「ギターのコードって難しいんだよね?
私楽器やった事ないから分からないけど」

そう言うと、

「指の形覚えるだけだろ。慣れりゃ終わりだ」

返答があまりにも軽い。

(やっぱ器用なんだなぁ)

ドラムだけじゃなく、たぶん何でも
すぐ出来ちゃうタイプなんだろう。

「いいなー。私リコーダーくらいしか
まともに触った事ないかも」

「小学生かテメェは」

「え、みんなそんな色々やるものなの!?」

思わず笑ってしまう。

でも爆豪くんは真顔だった。

「少なくともテメェよりはマシだろ」

「酷!」

文句を言い返しながらも、
不思議と嫌な感じはしない。

前だったらもっと一方的に
怒鳴られて終わっていた気がする。

でも最近は、ちゃんと会話になっている。

少しだけ。

距離感が変わった気がした。

「でも爆豪くん、文化祭ちゃんとノリノリだよね」

何気なくそう言うと、

「ハァ?」

爆豪くんが眉を寄せる。

「だってドラムちゃんとやってるし、
練習も真面目じゃん」

「……やるからには半端にしねェだけだ」

吐き捨てるような言い方だった。

でも。

それってつまり、本気ってことだ。

(負けず嫌いだなぁ)

文化祭ですら手を抜かないの、
すごく爆豪くんっぽい。

そう思っていると。

「つーかテメェこそ最近轟とずっとつるんでんな」

突然そんな事を言われた。

「え?」

思わず瞬きをする。

「演出の話してるだけだよ?」

「……あっそ」

返事は短かった。

でも。

何だか少しだけ、機嫌が悪そうに見える。

(仮免補講で仲良くなったと思ったけど、
そうでもないのかー)

爆豪くん、やっぱりまだ轟くん苦手なんだ。

そう結論付けて、それ以上は
轟くんの話をしない事にした。

会話が途切れる。

すると爆豪くんは小さく「チッ…」と
舌打ちをして、そのまま
エレベーターの方へ歩いて行ってしまった。

(また不機嫌になっちゃった)

見送るしかない背中を眺めながら、
綺羅は少しだけ首を傾げた。






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