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「じゃあ、一連の流れはこんな感じだな」

瀬呂くんがそう言いながら、
広げていた書類をまとめる。

放課後の寮。

共有スペースのテーブルには、
ここ数日で増えたメモや構成表が並んでいた。

そしてついに。

文化祭ライブ全体の演出構成が、ほぼ完成した。

「結局ダンス組にも協力してもらう事になるねー!
百ちゃんにも紙テープや紙吹雪出して貰う事になるし、
お茶子ちゃんの浮遊で楽しませるのも良い案だよね!」

まとめたメモを見ながら、自然と声が弾む。

ステージ全体のイメージが、もうかなり頭の中で完成していた。

開幕の星空。

流星みたいに走る光。

轟くんの氷へ反射する粒子。

終盤の“星の雨”。

全部がちゃんと繋がっている。

考えれば考えるほど、本番が楽しみになってくる。

「星宮もぶっ続けで個性を使う事になるけど大丈夫か?」

向かい側に座る轟くんが、確認するようにこちらを見る。

「大丈夫!ジーニストの元で光粒子の操作さらにパワーアップさせたから役立って嬉しいよ!」

笑って答える。

実際、前だったらここまで広範囲を長時間制御するのは難しかったと思う。

でも今は違う。

複数制御。

並列操作。

空間全体への展開。

インターンで鍛えた感覚が、ちゃんと活きていた。

「じゃあ、俺ダンス組に演出内容伝えてくるわ」

瀬呂くんが立ち上がる。

「俺はバンド組に教えてくるわ!上達も気になるしな!」

切島くんも勢い良く席を立った。

「僕は鳥さん達に伝えてくる」

口田くんも静かに席を離れる。

その結果。

共有スペースには、自分と轟くんだけが残った。

急に静かになる。

さっきまで賑やかだった分、不思議とその静けさが目立った。

「あと1週間無いからあっという間だね」

オレンジジュースの入ったコップを手に取って、一口飲む。

冷たくて美味しい。

「ああ。準備期間も短いからな」

向かいに座る轟くんが、タブレットを静かに閉じた。

視線を上げると、ちょうど目が合う。

最近こうして話す事が増えたせいか、前みたいな気まずさはもう無かった。

「轟くんって、意外とこういうのちゃんと考えるタイプなんだね」

思ったまま口にすると、

「意外ってなんだ」

少しだけ不満そうに返された。

「いや、もっと“興味ねえ”って感じかと思ってた!」

正直に言うと、轟くんは小さく息を吐く。

「……昔はそうだったかもな」

その声は静かだった。

「でも最近は、楽しませる側も悪くねえって思う」

そう言って、少しだけ口元が緩む。

(ほんと柔らかくなったなぁ)

体育祭の頃とは、かなり印象が違う。

あの頃は、もっと一人で張り詰めていた気がする。

でも今は。

こうして皆んなと同じ方向を向いている。

「文化祭、絶対成功させようね!」

自然と笑顔になる。

すると轟くんも真っ直ぐこちらを見て、

「ああ」

と静かにうなずいた。

派手な言い方じゃないのに、不思議と安心出来る返事だった。





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