肝試しを楽しんだ後、私達は切島くんが
行きたがっていたアスレチックエリアへ向かった。
「おー!」
思わず声が出る。
さすが雄英というか、文化祭の出し物なのに
設備がかなり本格的だった。
高い壁にロープ、ぐらぐら揺れる足場。
障害物競走みたいなコースが長く続いていて、
見ているだけでもワクワクする。
そして何より面白いのが、
“個性使用禁止”というルールだった。
怪我防止の意味もあるんだろうけど、
純粋な身体能力だけで挑戦するのが逆に楽しそうだ。
「まずは俺からクリアしてやるぜ!」
切島くんが気合い十分でスタート位置へ向かう。
勢いよく走り出して、重そうな障害物も
どんどん突破していく。
やっぱり身体能力高いなあと思いながら
見ていると、終盤の瞬発力が必要なエリアで
惜しくもタイムアップになってしまった。
「あー!惜しい!」
切島くん本人も悔しそうだ。
「いいなー楽しそう!」
三奈ちゃんが羨ましそうに声を上げる。
「スカートだからさすがにダメだねー」
私も隣で残念そうに呟いた。
こういうの、結構好きそうなタイプだと思う。
「2人ならいい線行けたかもね!」
透ちゃんまで勿体なさそうに言う。
すると何故か横で峰田くんが舌打ちした。
でも絶対ろくでもない事しか
考えてない顔だったので、
私達三人は何事も無かったようにスルーした。
「行けー!爆豪!」
「俺の無念を晴らしてくれ!」
瀬呂くんと切島くんの応援を受けながら、
今度は爆豪くんがスタート位置へ向かう。
予想はしていたけど、やっぱり凄かった。
個性無しでも運動神経がずば抜けてる。
難しそうな障害物も迷いなく越えていくし、
終盤の壁登りまであっさりクリアして、
そのまま制限時間内でゴールしてしまった。
(やっぱり凄いなあ…)
しかも、こういうアクティビティの時の
爆豪くんって、いつもより楽しそうに見える。
「おーさすが才能マン」
「欠点があの性格なのが救いだわ」
瀬呂くんと上鳴くんが好き放題言うと、
「聞こえてるぞカス!!」
壁の上から爆豪くんの怒鳴り声が飛んできた。
「景品なんだろー!」
三奈ちゃんが目を輝かせる。
「景品なんてあったっけ?」
私は首を傾げながら聞き返した。
すると運営していたヒーロー科二年生が、
「景品はプロテイン1ヶ月分でーす!」
と、大きな袋を爆豪くんへ渡した。
「なんだー切島系かー」
「筋トレ=切島くんなんだ」
三奈ちゃんの感想に、透ちゃんが思わずツッコむ。
「爆豪くんの景品なのに、
三奈ちゃん貰おうとしたの?」
自由すぎて思わず笑ってしまった。
「んじゃ次行こう次ー!」
三奈ちゃんはもう次の出し物へ向かって
歩き出している。
そのまま自然と皆んなもついていく流れになった。
人混みの中を歩いていると、
いつの間にか隣に爆豪くんが並んでいた。
片手にはプロテインの袋を抱えている。
「爆豪くん余裕だった?」
そう聞くと、
「当たり前だろ」
相変わらずこっちを見ないまま返事が返ってくる。
「だよね」
思わず笑う。
その後も皆んなで食べ歩きをしたり、
別のアクティビティで遊んだりしているうちに、
気付けば空は夕焼け色になっていた。
楽しかった文化祭も、これで終わり――。
のはずなのに。
寮へ戻ると、まだ中はかなり賑やかだった。
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