文化祭を終えたA組は、それぞれ風呂で汗を流し、
部屋着姿で共有スペースへ集まっていた。
私も髪を下ろして、ペールピンクのロングTシャツに、
白いラインの入ったショートパンツへ着替えて戻る。
流石に今日は疲れた。
でも、それ以上に楽しかった気持ちの方が大きい。
共有スペースのテーブルには、
お菓子やジュースがずらっと並べられていた。
ポテチにチョコ、クッキー、炭酸ジュース。
完全に打ち上げモードだ。
「それでは1年A組……文化祭ステージ……」
飯田くんが真面目に仕切り始める。
すると周りから、
「お疲れさまでしたあ!!」
一斉に声が上がり、皆んなでジュースを掲げた。
コップ同士が軽くぶつかる音が広がる。
「いやー大成功して良かったな!」
「他の科も喜んでたよなあ!」
皆んな楽しそうに話しながら、
お菓子をつまんでいる。
その空気が心地良かった。
「綺羅ちゃん、浮かした人
補助してくれてありがとうねえ」
隣に座るお茶子ちゃんが笑顔で話しかけてくれる。
「抜かりない配慮さすがだったわ」
梅雨ちゃんもお茶子ちゃんの隣から顔を覗かせた。
「ステージの皆んな凄く輝いてたよー!
ダンスも上手だった!」
そう返すと、二人とも少し照れたように笑った。
「コード間違えなくてマジで耳郎様様だったなー」
上鳴くんが安心したようにソファへ沈み込む。
「ああ、短期間でここまで上達出来るとは、
教え方が上手かった」
常闇くんまで真面目に耳郎ちゃんを褒めていた。
耳郎ちゃん本人は「やめてよ」と言いながらも、
少し嬉しそうだ。
「緑谷は何であんなギリギリだったんだよ?」
尾白くんが向かい側から聞く。
「そうだよ!めちゃくちゃ
ヒヤヒヤしたんだから!」
透ちゃんもプンプンさせている。
「思ったより探すの時間かかっちゃって……!」
緑谷くんは慌てながら説明している。
でも。
よく見ると、腕や頬に小さなかすり傷が
増えていた。
(何かあったのかな……)
気になる。
でも今は聞ける空気じゃない。
緑谷くん自身も、あまり詳しく
話したくなさそうだった。
その後も、
「あの時ああだった!」
「あれヤバかったよな!」
と、文化祭の思い出話で盛り上がっていく。
私はその話を聞きながら、時々笑ったり、
相槌を打ったりして、ゆっくり
打ち上げの空気を楽しんでいた。
でも。
時間が経つにつれて、
だんだん頭がぼんやりしてくる。
甘いものを食べて安心したからか、
一気に疲れが出てきた。
(やば……集中力切れてきたかも……)
瞼が重い。
ソファも暖かい。
今すぐ寝れそう。
ぼんやりしたままジュースを持っていると、
手元がふらっと傾いた。
その瞬間。
ぱっと誰かに手首を掴まれる。
「おい。寝るなら部屋で寝ろや」
低い声。
気付くと、いつの間にか隣に
爆豪くんが座っていて、
傾いたコップを支えていた。
「あ…爆豪くんありがとう……!」
慌てて持ち直す。
危なかった。
あと少しでこぼしていた。
(今日は爆豪くんに沢山お礼言ってるなぁ……)
不注意だった自分に少し反省する。
「綺羅ちゃんステージの最中
ずっと個性使っていたものね」
お茶子ちゃんが納得したように言う。
「そりゃお疲れだったよね……」
梅雨ちゃんもうなずいていた。
「そろそろ皆んな疲れ出てきたし、
お開きにすっかー」
切島くんが周りへ声を掛ける。
確かに、私以外にも眠そうな人が増えていた。
ソファでぐったりしている人もいる。
こうして、初めての雄英文化祭。
その大成功を祝ったA組の打ち上げも、
ようやくお開きになった。
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