かったるいステージが終わった。
文化祭だの他科だの興味はねえ。
だが、やるからには勝つ。
耳郎の歌も、バンドも、ダンスも、演出も。
全部まとめて観客を圧倒してやるつもりだった。
結果は上々。
体育館を出る時の連中の顔を見れば分かる。
モブ共のストレスも、
俺らのステージでぶっ放してやった。
ネチネチ俺らを僻みやがってうざかったが、
俺らを認めた様子は気持ちの良いものだった。
ただ。
一つだけ気に入らねえ事がある。
「ステージ成功して良かったね!」
聞き慣れた声に視線を向ける。
星だ。
片付けを終えた後も、轟と話している。
準備期間中からそうだった。
演出担当。
それだけだ。
それだけのはずなのに、休み時間も放課後も、
気付けば二人で話していた。
別に何かある訳じゃねえ。
そんな事は分かっている。
だが。
見ていて面白くねえ。
「星宮、周る奴いねえのか?」
轟が声を掛ける。
(ほらな)
やっぱり誘う気だった。
文化祭の準備期間ずっと一緒。
文化祭本番も一緒。
この後も一緒に回るつもりか。
冗談じゃねえ。
「あ、うん!特には決めてなくて…」
返事を聞いた瞬間だった。
考えるより先に体が動く。
「星、こっち来いや」
左手首を掴む。
驚いた顔がこっちを向いた。
「え?」
間抜けな声。
そのまま構わず引っ張る。
「え、あ、轟くん!大丈夫そう!」
星は慌てて後ろを振り返った。
轟は、
「ああ」
とだけ返す。
いつも通りの顔。
いつも通りの声。
それが妙に腹立たしい。
まるで余裕があるみてえだ。
こっちは勝手に苛ついているってのによ。
「爆豪くんどうしたの?」
横から聞こえる声を無視して歩く。
別に理由なんざねえ。
強いて言うなら。
気付いたらそうしていた。
ただそれだけだ。
しばらく歩くと、黒目と透明が見えてきた。
「あ!綺羅ー!一緒に…って、
え!もしかして2人で…!?」
黒目が騒ぎ出す。
「もしかしてもしかして!?」
透明も便乗する。
うるせえ。
「違えわ!テメェらが探してたから
ついでに引っ張って来たんだよ!」
そう吐き捨てて、掴んでいた腕を離した。
嘘じゃねえ。
探していたのも事実だ。
ただ。
それを見つけた瞬間、俺が動いただけだ。
「なんだー」
透明が露骨に残念そうな声を出す。
「気がきくじゃん爆豪!」
黒目は笑っていた。
勝手な事言ってやがる。
俺はそんなつもりじゃねえ。
……いや。
本当にそうか。
星が黒目達と話し始める。
楽しそうに笑う。
その顔を見ていると、さっきまでの妙な
苛立ちが少しだけ薄れた。
「おい爆豪!たこ焼き食いに行こうぜ!」
切島が呼ぶ。
「アタシもたこ焼き食べたい!」
黒目も手を挙げる。
結局そのまま皆で回る流れになった。
それで良かった。
少なくとも。
轟と二人で回られるよりは。
ずっとマシだった。
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