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綺羅はゴールして息を整えている間にも、
次々と後続の生徒たちが
ゴールラインを越えていった。

砂煙を上げながら転び込む者。
個性で滑り込む者。
最後の力を振り絞って走り抜ける者。

観客席からは歓声と拍手が絶えず響き続けている。

巨大モニターの順位表が次々と更新され、
やがて予選通過者の名前がすべて表示された。

予選通過者 42名。

それが決まったところで、第一種目は終了した。

スタジアム中央の舞台に
ミッドナイトが再び姿を現す。

スポットライトが当たり、
観客席の視線が一斉にそこへ集まった。

「《ようやく終了ね。
それじゃあ 結果をご覧なさい!
予選通過は上位42名!!
残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!
まだ見せ場は用意されてるわ!!
そして次からいよいよ本戦よ!!
ここからは取材陣も白熱してくるよ!
キバリなさい!!!》」

その声がスタジアムに響き渡った瞬間、
観客席から大きな歓声が巻き起こる。

さっきまでとは比べ物にならない熱気だった。

(本戦…)

胸の奥が少し高鳴る。

ここからが本番だ。

ミッドナイトがわざとらしく間を作る。

「《さーて!第二種目よ!!
私はもう知ってるけど〜〜〜…何かしら!!?
言ってるそばから コレよ!!!騎馬戦!!!!》」

巨大モニターに文字が映し出される。

【騎馬戦】

その瞬間、会場がざわついた。

予選とは違う。

ここからは――

個人の速さや力だけでは勝てない。

誰と組むか。

どう役割を分けるか。

それだけで勝敗が大きく変わる。

「騎馬戦…!俺ダメなやつだ…」

横で上鳴くんが焦った顔をしている。

帯電の個性は、接近戦で味方も
巻き込む可能性がある。

確かに騎馬戦とは相性が悪そうだ。

その隣では。

「騎馬戦…///」

峰田くんがなぜか顔を赤らめていた。

(そこテンション上がるところ?)

思わず苦笑いする。

「個人競技じゃないけど、どうやるのかしら」

梅雨ちゃんが冷静に言う。

するとミッドナイトがルール説明を始めた。

「《参加者は2〜4人のチームを
自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!
基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど
1つ違うのが…先ほどの結果にしたがい
各自にポイントが振り当てられること!》」

「あー入試の時みたいな
ポイント稼ぎあいってことかー」

尾白くんがすぐに理解する。

「つまり組み合わせによって
騎馬のポイントが違ってくると!」

切島くんが大声で叫んだ。

「あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!!」

ミッドナイトが少し怒る。

しかしそのまま説明は続く。

「《ええそうよ!
そして与えられるポイントは下から5つずつ!
42位が5P、41位が10P…といった具合よ。
そして…
1位に与えられるポイントは1000万!!!》」

一瞬、空気が止まる。

「………1000万?」

緑谷くんが青ざめた声を出す。

その瞬間。

周囲の視線が一斉に集まった。

(あ…)

そうだ。

予選1位は――

緑谷くん。

つまり。

1000万ポイント。

完全に狙われる立場だ。

ミッドナイトが妖艶に笑う。

「上位の奴ほど狙われちゃう、
下克上サバイバルよ!!!」

その言葉通りだった。

緑谷くんと組めば圧倒的な高得点チーム。

だが同時に――

全員から狙われる。

狙われ続けるか。

狙い続けるか。

どちらが有利かは明らかだった。

ミッドナイトの声が再び響く。

「《上を行く者には更なる受難を。
雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。
これぞ Plus Ultra!
予選1位通過の緑谷くん!!
持ちポイント 1000万!!
制限時間は15分!
振り当てられたポイントの合計が
騎馬のポイントとなり、騎手はそのポイント数が
表示されたハチマキを装着!
終了までにハチマキを奪い合い、
保持ポイントを奪うのよ。
取ったハチマキは首から上に巻く事。
取りまくれば取りまくる程、
管理が大変になるわよ!
そして重要なのはハチマキを取られても、
また騎馬が崩れても、騎手が地面に足を
付けなければアウトにはならないってところ!》」

「42名からなる騎馬10〜20組が、
ずっとフィールドにいるわけか!」

また切島くんが理解して叫ぶ。

「いったんポイント取られて
身軽になっちゃうのもアリだね」

芦戸ちゃんが言う。

その隣で梅雨ちゃんが静かに答える。

「それは全体のポイントの分かれ方見ないと
判断しかねるわ三奈ちゃん」

相変わらず冷静だ。

ミッドナイトが腕を大きく広げる。

「《個性発動アリの残虐ファイト!
でも……あくまで騎馬戦!!
悪質な崩し目的での攻撃などは
レッドカード!一発退場とします!
それじゃこれより15分!
チーム決めの交渉タイムスタートよ!》」

その瞬間。

スタジアムの空気が一気に動いた。

あちこちで声が飛び交う。

「組もう!」

「ポイントいくつだ!?」

「3人必要だ!」

人が一斉に動き出す。

交渉。

駆け引き。

そして――

騎馬戦の戦略。

(どう組むかだよね…)

周囲を見渡す。

誰と組むか。

その選択一つで、この競技の運命が決まる。

スタジアムの空気は、
もう完全に戦場のそれになっていた。








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