第二種目【騎馬戦】で騎馬を組むことになり、
交渉タイムに入った瞬間――
空気が一気に動いた。
あちこちで声が飛び交い、
生徒たちが一斉に動き出す。
誰と組むか。
誰を引き込むか。
それだけで勝敗が変わる競技だ。
そして当然のように――
予選上位の周りには人が集まる。
轟くん。
爆豪くん。
そして自分。
三人の周囲に、一斉に人の輪ができた。
「爆豪!俺と組もう!」
瀬呂くんが真っ先に声をかける。
「綺羅!私と組もー!」
芦戸ちゃんが腕を振って駆け寄ってくる。
さらに。
葉隠ちゃん、青山くん、障子くん、尾白くん――
次々と声が飛ぶ。
「僕のレーザーは遠距離援護ができるよ!」
「透明は奇襲に向いてると思うんだけど!」
「障子は腕多いから安定するぞ!」
一気に周囲が騒がしくなる。
(うわ…)
少しだけ圧倒される。
個性の相性もあるし、ポイント配分もある。
冷静に考えたい。
でも。
「綺羅!一緒やろ!」
芦戸ちゃんが笑顔で言う。
その隣では葉隠ちゃんも手を振っている。
(うーん…)
断るのも申し訳ない。
どうしようかと考えていると――
「おーい爆豪!俺と組もうぜ!轟速攻組んでた!」
切島くんが大きく手を振りながら駆け寄ってきた。
「クソ髪…」
爆豪くんがぼそっと言う。
「切島な!」
すぐに本人が訂正する。
そのやり取りの直後だった。
爆豪くんが、ふっとこちらを見る。
ギロっとした視線。
女子に囲まれているこちらを見ている。
目が合う。
「え?何?」
思わず聞く。
すると。
「俺と組め、星」
一瞬、周囲が静かになった。
「えー!3位と4位で高得点チームになるじゃん!」
芦戸ちゃんがすぐにブーイングする。
「どのみちデクがいんだから
変わんねえだろうが!」
爆豪くんが怒鳴る。
確かに――
1位の緑谷くんは1000万ポイント。
どう組んでも、結局みんなそこを狙う。
(それは…そうかも)
芦戸ちゃんを見る。
「芦戸ちゃんごめん!」
そう言って頭を下げる。
そして爆豪くんと組むことを選んだ。
チームが決まる。
爆豪くんが騎手。
戦闘に切島くん。
右翼に瀬呂くん。
そして――
左翼に自分。
四人で騎馬を組む。
「いいか?俺が求めんのは圧倒的1位だ。
始まった瞬間、デク狙うぞ」
爆豪くんが堂々と言う。
迷いがない。
「おお!」
切島くんが力強くうなずく。
だがすぐに現実的なことも言う。
「でも俺らも得点高えから
狙われる可能性あるぞ?」
確かに。
上位同士のチームだ。
目立つのは間違いない。
爆豪くんがこちらを見る。
「星、テメェ足場作って飛んでんな?」
「星宮ね?」
思わず訂正する。
「うん。私は爆豪くんみたいに爆発を
連続して出すんじゃなくて、飛んで、
足場に乗って、また飛ぶを繰り返してるよ」
スターライトの移動方法を説明する。
光の足場。
瞬間加速。
それを連続して移動している。
爆豪くんは少し考えるように目を細める。
そしてすぐに言った。
「俺が飛んだら足場作れ。それでデクにつめる。
離れたらテープが回収しろ」
「瀬呂な」
瀬呂くんがすぐにツッコむ。
爆豪くんは名前を覚える気がないらしく、
あだ名で呼ぶのが普通だ。
だが指示は明確だった。
役割もはっきりしている。
爆豪くんの爆破。
自分の足場。
瀬呂くんの回収。
そして。
切島くんの前衛。
(いいチームかも)
ふとそう思う。
爆豪くんと切島くんは、
USJ襲撃で倒壊エリアを潜り抜けた仲間。
瀬呂くんも対人戦闘訓練の時、
状況判断がとても速かった。
安心できる騎馬だ。
四人で並ぶ。
スタジアムの中央では、
すでに他のチームも騎馬を組み始めていた。
その中でも――
ひときわ目立つチームがある。
緑谷くんの騎馬。
頭には――
1000万ポイントのハチマキ。
会場中の視線が、そこへ集中していた。
✳︎
..