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綺羅は騎馬の位置につく。

先頭に切島くん。
右隣に瀬呂くん。
そして上には爆豪くん。

四人で組んだ騎馬は思った以上に安定していた。

切島くんの足腰は岩のように安定しているし、
瀬呂くんは常に周囲を見ている。
その上に乗る爆豪くんは、
すでに獲物を見つけた猛獣のような目をしていた。

そして始まる。

チームワークが求められる第二種目――

騎馬戦。

「《よォーし 組み終わったな!!?
準備はいいかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!
残虐バトルロワイヤルカウントダウン!!
3!!!2!!1……!START!!!!》」

プレゼント・マイクの合図と同時に――

一斉に騎馬が動いた。

そして次の瞬間。

全員が緑谷くんへ向かう。

1000万ポイント。

巨大な的だ。

(やっぱり…!)

予想通りだった。

だがその途中。

「来たぞ!」

横から騎馬が突っ込んでくる。

B組だ。

鋼のように体を固めた男子が先頭に立つ騎馬。

さらにもう一つ。

巨大な拳を作る女子が先頭の騎馬。

二方向から挟み込む形だ。

「来てるぞ!」

瀬呂くんが叫ぶ。

だが爆豪くんは視線すら動かさない。

「デクんとこだ!」

それしか見ていない。

爆豪くんが爆破を起こす。

ドンッ!!

爆風が二つの騎馬を弾く。

同時にスターライトを発動。

光が弾ける。

「じゃあ、ごめんね!」

フラッシュ。

一瞬、視界を奪う。

その隙に騎馬が一気に方向を変えた。

二つの騎馬がバランスを崩す。

その隙を縫って突き抜ける。

そして前方。

空中に浮かぶ騎馬が見えた。

緑谷チームだ。

「調子乗ってんじゃねえぞクソが!!」

爆豪くんが叫ぶ。

次の瞬間。

爆破。

体が空へ跳ぶ。

その真下に光の足場を作る。

爆豪くんがそこに着地する。

さらに爆破。

軌道を変えながら――

緑谷くんへ一直線。

「常闇くんっ!!」

緑谷くんの声。

次の瞬間。

影が膨れ上がる。

黒い怪物のような影。

爆豪くんの爆破がぶつかる。

轟音。

衝撃。

だが黒い影が前に出て防御する。

しかし――

爆破の衝撃で一瞬、影が怯んだ。

(今嫌がった…?)

その瞬間を見逃さなかった。

だが。

「んだ…こいつ……」

爆豪くんが舌打ちする。

その瞬間。

シュッ

瀬呂くんのテープ。

爆豪くんの腰に巻き付き、引き戻す。

騎馬に回収された。

しかし――

次の瞬間。

「単純なんだよ、A組」

背後から声。

気付いた時には遅かった。

ハチマキが引き抜かれる。

「ハチマキが…!」

思わず声が出る。

振り返る。

そこには。

金髪でニヤニヤ笑う男子。

そしてその騎馬。

「んだてめェコラ!!返せ殺すぞッ!!」

爆豪くんが完全にキレた。

金髪の男子は肩をすくめる。

「ミッドナイトが第1種目と言った時点で、
予選段階から極端に数を減らすとは
考えにくいと思わない?」

余裕の声。

「おおよその目安を40位以内と仮定し、
その順位以下にならないよう予選を走ってさぁ、
後方から、ライバルになる者たちの個性や
性格を観察させてもらった。
その場限りの優位に執着したって仕方ないだろ?」

完全に煽っている。

「あとついでに、君有名人だよねぇ?
ヘドロ事件の被害者。
今度参考に聞かせてよ〜。年に一度、
ヴィランに襲われる気持ちってのをさぁ」

その言葉に胸がムッとする。

(そんな言い方…)

襲われたくて襲われているわけじゃない。

あんな出来事を。

そんな風に言うなんて。

だが。

爆豪くんの怒りは、それ以上だった。

怒りが噴き上がる。

空気が張り詰める。

「切島ァ、予定変更だぁ…!」

爆豪くんの声が低くなる。

視線の先。

もう金髪の男子しか見えていない。

「物間!あんま煽んなよ!同じ土俵だぞそれ!」

その騎馬の先頭にいる丸顔の男子が言う。

だが金髪の男子は笑う。

「あぁそうだね、ヒーローらしくないし、
それによく聞くもんね?
恨みを買ってしまったヒーローが、
ヴィランに仕返しされるって話」

その言葉が。

さらに火を注ぐ。

「爆豪落ち着け!冷静になんねえと、
ポイント取り返せねえぞ!?」

切島くんが必死に言う。

だが。

「っし…進め切島ぁ俺は今!
すこぶる冷静だぁ…!!」

どう見ても冷静ではない。

「頼むぞマジで!!!」

切島くんは覚悟を決めたように言う。

そして。

騎馬が一気に加速する。

狙いはただ一つ。

――ハチマキを奪った騎馬。

金髪の男子の騎馬だった。








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