爆豪くんが飛び出した瞬間。
騎馬の上からその軌道を追いながら、
綺羅はすぐにスターライトを発動する。
光が空中に弾ける。
爆豪くんの進行方向に合わせて――
光の足場。
爆豪くんは爆破で前へ飛ぶ。
空中で体勢を整える。
必要な瞬間だけ、足場に着地する。
そしてまた爆破。
ドンッ!!
加速。
その動きは、ほとんど一直線だった。
獲物はただ一つ。
金髪の男子の騎馬。
「チッ…しつこいなあ…円場!」
金髪の男子が声を上げる。
すると、騎馬の先頭にいる
丸顔の男子が息を吐いた。
透明な壁。
空気の防御。
爆豪くんの進路を塞ぐ。
だが――
(今…!)
パリン
乾いた音。
次の瞬間、透明な壁が粉々に割れた。
スターライトの弾丸。
光を圧縮した弾が、空気の壁を撃ち抜いていた。
爆豪くんがその隙を逃さない。
ニヤリと笑う。
「邪魔だァ!!」
爆破。
一気に距離を詰める。
迎え撃とうとする金髪の男子の爆破を、
爆豪くんは体をひねって避ける。
そして。
ガッ
ハチマキを掴み取る。
一瞬の出来事だった。
「《爆豪!!容赦なしーー!!!
やるなら徹底!彼はアレだな、完璧主義だな!!
さぁさぁ、時間はもうわずか!!》」
プレゼント・マイクの実況が、
さらに会場を沸かせる。
観客席から歓声が上がる。
しかし爆豪くんの体は空中で
バランスを崩していた。
その瞬間。
「任せろ!」
瀬呂くんのテープ。
爆豪くんの腰に巻きつき、引き戻す。
そのまま騎馬へ回収された。
着地した爆豪くんがすぐに叫ぶ。
「次!!デクと轟んとこだ!!」
視線はすでに別の騎馬を捉えていた。
緑谷チーム。
そして轟チーム。
「おっしゃ!」
切島くんも完全に乗り気だ。
騎馬が加速する。
だが。
近づいたその瞬間――
実況の声が響く。
「《5!4!3!2!1……タイムアップ!!》」
プレゼント・マイクの声と同時に。
爆豪くんが最後の爆破で飛び出す。
だが。
地面に――
べったり落ちる。
「星足場出せやああ!!」
爆豪くんが叫ぶ。
「ごめんね!時間切れだったから…!」
笑いながら答える。
タイムアップ。
もう足場を出す意味はない。
爆豪くんが悔しそうに舌打ちする。
騎馬を崩す。
そしてモニターへ視線が向く。
結果発表。
「《早速上位4チーム見てみよか!!
1位 轟チーム!!2位 爆豪チーム!!
3位鉄て…アレェ!?オイ!!!心操チーム!!?
いつの間に逆転してたんだよオイオイ!!》」
スタジアムがざわつく。
爆豪チームは――
(2位…)
思わずホッと息を吐く。
その一方。
緑谷チームの様子が気になった。
視線を向ける。
緑谷くんはうなだれていた。
どうやら1000万ポイントを
轟くんに奪われたらしい。
(じゃあ緑谷くん達は…)
心配になって見ていると。
常闇くんが口を開く。
「お前の初撃から轟は明らかな動揺を見せた。
1000万取るのが本位だったろうが…
そう上手くはいかないな。」
常闇くんの黒いモンスターが何かを咥えている。
ハチマキ。
「それでも1本。警戒の薄くなった
持ちポイントを頂いておいた。緑谷。
お前が追い込み生み出した轟の隙だ。」
その言葉に。
緑谷くんの顔が一瞬止まる。
そして。
モニターが更新される。
「《4位 緑谷チーム!!以上4組が最終種目へ…
進出だああーーーーーーーーーー!!!!!!》」
スタジアムが爆発するような歓声に包まれた。
緑谷くんは――
涙を滝のように流していた。
それを見て。
思わず笑みがこぼれる。
(よかった…)
これで。
騎馬戦は終了。
次は――
昼休憩。
そして。
午後の部。
体育祭、最後の種目が始まる。
✳︎
..