光が、指先で弾けた。
瞬間、空気がきらりと輝く。
細かな光の粒子が、
夜空の星屑のように指先から散った。
スターライト。
私の個性。
散った光は、そのまま消えるわけじゃない。
空気の中で、私の意思に応えるように
静かに揺れている。
(届く)
ロボットとの距離はまだ数メートル。
私は走りながら腕を振り抜いた。
光が、一斉に前へと飛ぶ。
弾丸のように収束した光が、
ロボットの胸部へ突き刺さった。
――バンッ!!
乾いた衝撃音。
ロボットの装甲が大きく揺れる。
(硬い)
けれど、止まらない。
赤いセンサーが私を捉え、
ロボットが腕を振り上げた。
ガシャン、と金属が軋む音。
振り下ろされる巨大な腕。
私は地面を蹴った。
体がふわりと浮く。
そのまま建物の壁を踏み、もう一度跳躍。
視界が一気に上がる。
(上から)
私は空中で体をひねった。
指先に、もう一度光が集まる。
今度はさっきよりも密度を上げる。
粒子が集まり、ひとつの光の塊になる。
(ここ)
ロボットの関節。
動きの中心。
私はそこを狙った。
「――!」
光を撃ち出す。
鋭い閃光が、ロボットの肩関節に突き刺さる。
次の瞬間。
ガキンッ!!
金属が砕ける音。
ロボットの腕が不自然に止まった。
そのまま大きくバランスを崩す。
「……!」
ドシン、と重たい音を立てて、
ロボットが道路に倒れ込んだ。
赤いセンサーの光が消える。
(倒した)
私は着地しながら、ほんの少し息を吐いた。
試験開始から、まだ数秒。
周りを見ると、他の受験生たちも戦い始めている。
爆発音。
衝撃音。
個性の光。
演習場のあちこちで戦闘が始まっていた。
(すごい)
雄英志望。
やっぱり、強い人が多い。
でも。
胸の奥に、じわっと熱が広がる。
(いける)
今の一撃。
ちゃんと通用した。
私はもう一度空を見上げた。
演習場の上に広がる青空。
その中で、光の粒子がまだわずかに漂っている。
(もっといこう)
スターライト。
私の光。
この10分で――
できるだけ多くのロボットを止める。
私は再び地面を蹴った。
次の敵へ向かって、一直線に走り出す。
ヒーロー科入試。
戦いは、まだ始まったばかりだった。
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