⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

✳︎






「《準決!サクサク行くぜ!
お互いヒーロー家出身のエリート対決だ!
飯田天哉 対 轟 焦凍!START!!!!》」

プレゼント・マイクの実況と同時に、
ステージが白く染まった。

轟の足元から氷が走る。

氷は地面を滑るように広がり、
一直線に飯田へ向かった。

だが――

飯田は止まらない。

ふくらはぎのエンジンを唸らせ、地面を蹴る。

次の瞬間、身体が跳ね上がった。

氷を飛び越える。

そのまま空中から急降下し、
轟へ向かって鋭い蹴りを叩き込んだ。

鈍い音が響き、轟の身体が地面へ叩きつけられる。

観客席が大きくどよめいた。

飯田はすぐに轟の制服を掴む。

そのまま全速力で走り出した。

場外へ引きずり出すつもりだ。

だが――

突然、飯田の足が止まった。

エンジン音が途切れる。

轟の氷が排気筒に詰まり、エンストしていた。

一瞬の隙。

轟はすぐに飯田の腕を掴み、氷を広げる。

腕から肩へ。

巨大な氷ではなく、細かく、
確実に動きを封じる氷だった。

飯田は悔しそうに歯を食いしばる。

だが、もう動けない。

「《飯田 行動不能!
轟!炎を見せず決勝進出だ!》」

プレゼント・マイクの実況がスタジアムに響いた。

氷を解いた轟が静かに場外へ歩いていく。
一方、動きを封じられた飯田は悔しそうに
歯を食いしばりながら救護班に連れていかれた。

A組のスタンド席では、
その様子を見ていた生徒たちが一斉にざわめく。

瀬呂が身を乗り出しながら言った。

「轟やっぱ強ぇな」

隣で腕を組んでいた上鳴が頷く。

「飯田も速かったけどな。
エンジン止めるのは予想外だろ」

尾白が落ち着いた声で続ける。

「氷の使い方がかなり精密だった。さすがだな」

耳郎がステージを見ながら言う。

「でも轟、炎使わなかったね」

蛙吹が静かに答える。

「ええ、氷だけで十分と
判断したのかもしれないわね」

その時、芦戸が急に振り返った。

「てかさ!」

芦戸は身を乗り出して言う。

「次、綺羅と爆豪だよ!?」

「それな」

瀬呂がすぐ反応する。

上鳴も苦笑しながら言った。

「ヤバいカード来たよな」

葉隠が楽しそうに身を乗り出す。

「ねえねえ!どっちが勝つと思う!?」

峰田が即答した。

「爆豪だろ!爆破あんだけ撃てるんだぞ!」

芦戸がすぐ言い返す。

「でも綺羅めっちゃ速いよ!
青山の試合見たじゃん!」

尾白が思い出すように頷いた。

「確かにあの速度は驚いた。
接近戦ならかなり強い」

耳郎が腕を組みながら言う。

「でも爆豪って空中でも動けるじゃん」

瀬呂が同意する。

「爆破で方向変えるやつな」

蛙吹が冷静にまとめる。

「距離の取り合いになりそうね」

上鳴が頭を掻きながら言う。

「スピードは綺羅」

瀬呂が続ける。

「火力は爆豪」

尾白が静かに頷いた。

「互角かもしれないな」

その時、ノートを見ていた緑谷が小さく呟いた。

「でも……」

周りが緑谷を見る。

緑谷は少し前のめりになりながら言う。

「星宮さんの空中機動って、
かっちゃんの爆破とは少し違うんだ」

上鳴が首を傾げる。

「どう違うんだ?」

緑谷は説明する。

「星宮さんは光を足場にしてるから、
方向の制御がすごく細かいんだ。
かっちゃんは推進力が強い分、
動きが大きくなることもある」

瀬呂が感心したように言った。

「なるほどな」

緑谷は続ける。

「だから接近戦になったら、
星宮さんが有利かもしれない」

上鳴が驚く。

「マジか?」

瀬呂が腕を組む。

「でも爆豪、近距離も強ぇぞ」

緑谷は頷いた。

「うん。だから……」

緑谷はノートを閉じる。

「すごい試合になると思う」

その言葉を聞いて、芦戸が笑った。

「だよね!」

葉隠も楽しそうに言う。

「綺羅ちゃん絶対カッコいいよ!」

スタジアムでは、
すでに次の試合の準備が始まっていた。

星宮綺羅。

そして爆豪勝己。

A組の誰もが、その対決を待っていた。









✳︎



..