出立


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ある日。

紫乃はルキアと共に、
総隊長直々の呼び出しを受けて
一番隊隊舎を訪れていた。

そこには既に、日番谷冬獅郎、阿散井恋次、
松本乱菊、斑目一角、綾瀬川弓親の
五名も集められている。

呼び出された顔触れを見れば、
ただ事ではないことは明らかだった。

やがて七人の前に立った
総隊長・山本元柳斎重國が、
身体を支えていた杖を床へ叩きつける。

「先日、空座町に破面が二体現れ、
死神代行・黒崎一護が負傷した」

その声が、一番隊隊舎に重く響いた。

「浦原喜助と四楓院夜一が救援に駆け付け、
一命を取り留めたが
――敵は圧倒的な力を持っていた」

全員の表情が引き締まる。

「敵は藍染の名も口にしており、
藍染の配下である可能性が高い」

そこで総隊長は、一人ひとりを見渡した。

「そこで、日番谷隊長を筆頭に
現世・空座町へ潜伏し、
再び破面が現れた際の防衛及び、
何故『空座町』が狙われているのか、
その調査を命ずる」

「は!」

七人の声が重なった。

こうして、日番谷冬獅郎率いる現世派遣部隊
――通称、日番谷先遣隊が組まれることとなった。

紫乃は一番隊隊舎を出ると、
胸の内に小さな期待を抱いていた。

浦原喜助。

そして、四楓院夜一。

もう一度、二人に会えるかもしれない。

それだけで、僅かに心が弾んだ。

一番隊隊舎を出ると、先頭を歩いていた日番谷が
足を止め、後ろを振り返った。

「技術開発局から義骸の用意が出来次第、
穿界門に集合だ」

「はい!」

ルキアが真っ直ぐに返事をする。

その横から、乱菊が楽しそうに口を挟んだ。

「潜伏ってことは、
長期的に現世に残るってことですよねー?」

「……まあな」

「それなら、折角だし一護や織姫ちゃんが通ってる
学校に行きましょうよー! 
現世の制服、着てみたいしぃー!」

「遊びじゃねえんだぞ」

早くも日番谷の眉間に皺が寄った。

「でも、幾ら仮面が強敵だったからって、
隊長一名に副隊長三名、
上位席官まで三名なんて大袈裟じゃない?」

弓親が肩を竦める。

「ねえ、一角」

「それだけ一護が圧倒されてたってことだろ」

一角は口元を吊り上げた。

「どんな相手か、楽しみだ」

どうやら十一番隊の二人は、任務そのものを
別の意味で楽しみにしているらしい。

「ルキアと阿散井くんは、
久しぶりに一護くんに会えるね」

紫乃が二人へ声を掛ける。

するとルキアは、拳を握って意気込んだ。

「仮面にやられるなど、
怠けた身体を叩き直してやります!」

「相変わらずだな……」

阿散井が呆れたように呟く。

双極での一件では、
今にも消えてしまいそうなほど
弱々しかったルキア。

けれど、今の彼女にはもうその面影はない。

元々、男顔負けの気の強さと
真面目さを持ち合わせた少女だ。

すっかり自分を取り戻した姿に、
紫乃は安堵し、思わず小さく笑みを零した。

「花房副隊長は、空座町に行ったことは?」

阿散井に尋ねられ、紫乃は少し考える。

「視察で行ったことはあるけど……
十数年前だから、町並みはだいぶ変わってるよね。
きっと」

「現世の案内なら、お任せください!」

今度はルキアが胸を張った。

「一護たちと一緒にいたんですから、
空座町のことはよく知っています!」

「それなら頼もしいね」

紫乃は微笑んだ。

翌朝。

十二番隊・技術開発局から、
義骸の用意が整ったとの報告が届いた。

一行は穿界門の前へ集合する。

通常であれば、穿界門を通って
一人ずつ現世へ向かうところだが、
今回は大人数での派遣となる。

そのため技術開発局によって、
空間を安定させるための措置
――「界挺」が施されていた。

準備が整うと、門がゆっくりと開いていく。

その向こうに広がるのは、現世。

紫乃は開かれた門を見つめ、静かに息を吐いた。

十数年ぶりとなる空座町。

そして――。

かつて尸魂界を離れた二人との、再会の可能性。

僅かな期待を胸に、
紫乃は仲間たちと共に穿界門をくぐった。







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