対価のない代物








探偵社に客が来た。
恐らく団長であろう金髪を綺麗に整えた
金のオーラを放っている高そうな男と
その後ろにオールバックの髪をした紳士に
少し田舎を感じるおさげ髪の少女の3人。

社長室にて福沢の向かいに団長が腰掛け、
谷崎の妹が彼らにお茶を淹れていた。



「会えてとてもとても嬉しいよ
プレジデント…フクナ……フクダ……」

「福沢。」

「それだ!ところで、ヘリを道路に停めさせたが
まずかったかね?何しろヘリポートのない会社に
訪ねるのは初めてでね。」

「外国の方が遠路遥々ご足労でしたな。
して、要件は?」

「ほう 珍しいデザインだ。陶磁器は詳しいはずだったが、
どこのブランドかな?ロイヤル・フラン?
あるいはエル・ゼルカか?」

「隣の下村陶器店です」プイッ

「それは失礼。フィッツジェラルドだ。
北米本国で【組合(ギルド)】という寄合いを束ねている。
その他個人的に3つの複合企業と5つのホテル
それに航空会社と鉄道とーーー……」

「フィッツジェラルド殿。
貴君は懸賞金でマフィアを唆し、
我らを襲撃させたとの報があるが誠か?」

「ああ!あれは過ちだったよオールド・スポート!
まさかこの国の非合法組織があれほど役立たずとは!
謝罪に良い商談を持ってきた。
悪くない会社だ。建物の階層が低すぎるのが難だが
街並みは美しい。この会社を買いたい。」



そう言って側に仕えていたものが
アタッシュケースをテーブルに置き開いた。
すると札束がぎっしりと貯まっていた。



「勘違いするな。
俺はここから見える土地と会社
全てを買うこともできる。
この社屋も社員にも興味はない。
あるのは一つ。」

「ーー真逆、」

「そうだ、【異能開業許可証】を寄越せ。」