突然ですがちょいとした昔話、といった大それたものではございませんが少しだけお話にお付き合いください。
これは昨日の出来事。
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「っぷはーーーーーー!やっぱり鬼労働後のお酒は最高ですねーー!あっ、乾杯!」
と右手に持ったジョッキの中の液体を一気に胃へ流し込む。社畜万歳、と皮肉を心の中で呟きながら。
此処は新宿歌舞伎町の一角にあるとある居酒屋。
やっとの思いで文字通り山のように積みあがった仕事を片付け待ちに待った金曜日の夜を楽しむ。嫌な宿題はごみ箱に捨てちゃえ、なんて歌詞がふと頭をよぎったが残念、気づけば数年前に学生は卒業し、今は立派なシャカイジンという括りで呼ばれる部類の人間の仲間入りを果たしていた。
「嫌な仕事もゴミ箱に捨てられたらいいのにねぇー。いっその事会社ごとポイ、なぁんて。」
今日もリッパなシャカイジンとしての一日お疲れ様〜!この年になると褒められる機会も少なくなるので自分を褒めてあげるのも自分の役目。なんて思いつつ知らない内に覚えてしまった”責任感”という言葉に縛られながら今日も今日とていつも通り仕事を片づける。
いつもであればくたくたになりながらタスクをこなし、会社を出てはぼーっと吊革につかまり電車に揺られながら家へ帰り、風呂に入っては気を失うかのように寝ては差し込んでくる朝日に起こされ、また職場へ向かう準備をする。そんな日々の繰り返す社会人にとって所謂”華金”と呼ばれる金曜日とは、明日の仕事のことを考えずに思う存分日々のうっ憤を晴らし羽を伸ばせる特別な日。なのかもしれない。
そして今日はそんな華金の中でも少し特別な日。数年ぶりに学生時代仲の良かった友人たちと集まる事となったのだ。
学生時代の話に花を咲かせたり、当時を思い返しての暴露大会であったり、はたまた各々の今の人生の報告をしたり、みんながそろいもそろって抱えている会社やクソ上司の愚痴だったり、一部人間の結婚報告だったり。話題は尽きることなく酒のつまみとなって気づけば手に持ったグラスは空になり、再び注がれては知らぬうちに飲み干して、を繰り返す。グラスに注がれたそれは何倍目であったか。大学生の時に入っていたサークルの飲み会のようにコールで無理やり飲まされる事もなく、薄くてまっずい酒がピッチャーで運ばれてくる事もない。同時に今日は怒涛のように労働を強いられた一週間の締めの金曜日。
酒は対して弱いわけではないと自負していたものの、私の記憶を飛ばさせるには十分な条件が揃っていた。あとはそう。察しの通りである。
知らない内に結婚して家庭を持った同級生はぱっぱと上がり、明日も仕事だと泣く泣く帰る者は先に帰り。気づけば残っていたのは若干名の、まだまだ飲み足りない語り足りないと主張して(もとい喚いて)いた所謂学生自体の”イツメン”とやらだけに絞られていた。さて此処の店は何件目だっけか。
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「あ〜〜も〜だめぇ無理お腹いっぱぁい!あははっは〜今から家帰んのだるーいけどもぉ帰るぞ〜!!眠いからァー!お前らもかえれかえれーってもうみんないなぁい!!かっなしい!」
帰ろう、だなんて言いつつとうの昔に終電はなくなってしまったなぁどうしよう、というかここはどこだー!と回らない頭で考えてみる。
あれれーーみんなはー?たくしーでかえったのかな?いってらっしゃーい!あ、ちがう、おかえりくださーい?おかえりなさぁい?あっ、違うこういう時の日本語は、ばいばーい、だ!
「はっはっはーーーー選ばれたのは?残されたのは、俺氏でしたーー!なーんちゃって〜!」
言葉にして口から出してみるものの、薄情な友人共め。私の気づかない内に清算を終え皆それぞれの帰宅路へと旅立ってしまったようで、発された言葉は誰に拾われるでもなくこの町へと飲み込まれていく。
うーん悲しい。そして寂しいな、我ながら!!
回っていないのは頭だけではなく舌もだなぁーとか自分にツッコミを入れながらこれからどうするか考えてはみる。考えてはみる、ものの、しっかり今日一日分働きつくした脳みそはこれ以上の労働を拒否しているようで。
つまりは、あれだ。
「なまえちゃんの脳みそスリープモードに切り替わりまぁす!おやすみぃ〜」
誰に対しての挨拶だったのか、自分は今なんという町のなんという通りにいるのか。いつの間に友達はみんな私を置いて帰ってしまったのか。ばーかこの皆のしょうじきものー!
だけれども、そんな事はすべてはもうどうでもいいのである。とりあえず今は何よりも、睡眠が、欲しいんだ。
ぽかぽかする体から自然にでた欠伸は思考停止の合図であったかのように、ふわふわする頭は今の現状を把握することをあきらめお休みしようとし始める。瞬間、
ぐわん、と世界が揺れた気がした。
自然と閉じ始めた瞼が彩るネオンを掻き消すかの様に完全に閉じきる前に。視界に入り込んできたのは見覚えのない数名の靴。
自分の耳がこの眠らないと言われる街の騒音をシャットアウトする前に。耳に入ってきたのは「おやすみ」だなんて穏やかな言葉とは真逆の、キュィィンという起動音に続き音に乗せらた暴力的な言葉の雨。
地面に体がつくのが先か、意識が途切れるのが先か。
私の記憶はここでプツンと途切れしまったのであった。
(世界が一瞬ぶれたように見えたのも、意識を失うように地面に倒れたのも、あの空耳も何もかも全部きっとお酒のせい。日々の社畜人生に万歳。さあ明日は待ちに待った土曜日だ。)
……我の睡魔、無敵なり。
これは昨日の出来事。
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「っぷはーーーーーー!やっぱり鬼労働後のお酒は最高ですねーー!あっ、乾杯!」
と右手に持ったジョッキの中の液体を一気に胃へ流し込む。社畜万歳、と皮肉を心の中で呟きながら。
此処は新宿歌舞伎町の一角にあるとある居酒屋。
やっとの思いで文字通り山のように積みあがった仕事を片付け待ちに待った金曜日の夜を楽しむ。嫌な宿題はごみ箱に捨てちゃえ、なんて歌詞がふと頭をよぎったが残念、気づけば数年前に学生は卒業し、今は立派なシャカイジンという括りで呼ばれる部類の人間の仲間入りを果たしていた。
「嫌な仕事もゴミ箱に捨てられたらいいのにねぇー。いっその事会社ごとポイ、なぁんて。」
今日もリッパなシャカイジンとしての一日お疲れ様〜!この年になると褒められる機会も少なくなるので自分を褒めてあげるのも自分の役目。なんて思いつつ知らない内に覚えてしまった”責任感”という言葉に縛られながら今日も今日とていつも通り仕事を片づける。
いつもであればくたくたになりながらタスクをこなし、会社を出てはぼーっと吊革につかまり電車に揺られながら家へ帰り、風呂に入っては気を失うかのように寝ては差し込んでくる朝日に起こされ、また職場へ向かう準備をする。そんな日々の繰り返す社会人にとって所謂”華金”と呼ばれる金曜日とは、明日の仕事のことを考えずに思う存分日々のうっ憤を晴らし羽を伸ばせる特別な日。なのかもしれない。
そして今日はそんな華金の中でも少し特別な日。数年ぶりに学生時代仲の良かった友人たちと集まる事となったのだ。
学生時代の話に花を咲かせたり、当時を思い返しての暴露大会であったり、はたまた各々の今の人生の報告をしたり、みんながそろいもそろって抱えている会社やクソ上司の愚痴だったり、一部人間の結婚報告だったり。話題は尽きることなく酒のつまみとなって気づけば手に持ったグラスは空になり、再び注がれては知らぬうちに飲み干して、を繰り返す。グラスに注がれたそれは何倍目であったか。大学生の時に入っていたサークルの飲み会のようにコールで無理やり飲まされる事もなく、薄くてまっずい酒がピッチャーで運ばれてくる事もない。同時に今日は怒涛のように労働を強いられた一週間の締めの金曜日。
酒は対して弱いわけではないと自負していたものの、私の記憶を飛ばさせるには十分な条件が揃っていた。あとはそう。察しの通りである。
知らない内に結婚して家庭を持った同級生はぱっぱと上がり、明日も仕事だと泣く泣く帰る者は先に帰り。気づけば残っていたのは若干名の、まだまだ飲み足りない語り足りないと主張して(もとい喚いて)いた所謂学生自体の”イツメン”とやらだけに絞られていた。さて此処の店は何件目だっけか。
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「あ〜〜も〜だめぇ無理お腹いっぱぁい!あははっは〜今から家帰んのだるーいけどもぉ帰るぞ〜!!眠いからァー!お前らもかえれかえれーってもうみんないなぁい!!かっなしい!」
帰ろう、だなんて言いつつとうの昔に終電はなくなってしまったなぁどうしよう、というかここはどこだー!と回らない頭で考えてみる。
あれれーーみんなはー?たくしーでかえったのかな?いってらっしゃーい!あ、ちがう、おかえりくださーい?おかえりなさぁい?あっ、違うこういう時の日本語は、ばいばーい、だ!
「はっはっはーーーー選ばれたのは?残されたのは、俺氏でしたーー!なーんちゃって〜!」
言葉にして口から出してみるものの、薄情な友人共め。私の気づかない内に清算を終え皆それぞれの帰宅路へと旅立ってしまったようで、発された言葉は誰に拾われるでもなくこの町へと飲み込まれていく。
うーん悲しい。そして寂しいな、我ながら!!
回っていないのは頭だけではなく舌もだなぁーとか自分にツッコミを入れながらこれからどうするか考えてはみる。考えてはみる、ものの、しっかり今日一日分働きつくした脳みそはこれ以上の労働を拒否しているようで。
つまりは、あれだ。
「なまえちゃんの脳みそスリープモードに切り替わりまぁす!おやすみぃ〜」
誰に対しての挨拶だったのか、自分は今なんという町のなんという通りにいるのか。いつの間に友達はみんな私を置いて帰ってしまったのか。ばーかこの皆のしょうじきものー!
だけれども、そんな事はすべてはもうどうでもいいのである。とりあえず今は何よりも、睡眠が、欲しいんだ。
ぽかぽかする体から自然にでた欠伸は思考停止の合図であったかのように、ふわふわする頭は今の現状を把握することをあきらめお休みしようとし始める。瞬間、
ぐわん、と世界が揺れた気がした。
自然と閉じ始めた瞼が彩るネオンを掻き消すかの様に完全に閉じきる前に。視界に入り込んできたのは見覚えのない数名の靴。
自分の耳がこの眠らないと言われる街の騒音をシャットアウトする前に。耳に入ってきたのは「おやすみ」だなんて穏やかな言葉とは真逆の、キュィィンという起動音に続き音に乗せらた暴力的な言葉の雨。
地面に体がつくのが先か、意識が途切れるのが先か。
私の記憶はここでプツンと途切れしまったのであった。
(世界が一瞬ぶれたように見えたのも、意識を失うように地面に倒れたのも、あの空耳も何もかも全部きっとお酒のせい。日々の社畜人生に万歳。さあ明日は待ちに待った土曜日だ。)
……我の睡魔、無敵なり。