「まいどあり!おばちゃんいつもありがとね!」
時は戦国。
甲斐の虎、武田が治める地に一人の少女の声が響く。
「ふふ、こちらこそよ?琴音ちゃんの作るお団子はいつも美味しいもの。また買いに来るわね」
「えへへーうれしいこと言ってくれるじゃないかい!よし、特別に一個おまけしておくね!あっ、ほかの人には内緒にしておくれよ?」
少女は人差し指を口の前に持ってきながら、茶目っ気たっぷりに老婆と話す。
「でも聞いたわよ、もう暫くしたら琴音ちゃん旅に出るんだって?」おばちゃん達の情報網舐めたらだめよー、と別のご老人が笑う声が聞こえる。
「あー、もうその話行き渡っちゃってたかぁー。」
恐らくこの少女の人柄もあり、団子屋にいる多くの客が彼女との会話を楽しみながら幸せそうに食事をしている。この空間を求めて来る客も少なくはなさそうだ。
そして同時に
「いくら琴音ちゃんとは言え、女の子の一人旅だなんておばちゃんちょっと心配よ…?
なんだって急に…。こんなにお客さんで賑わってるんだ、売れ行きが良くないわけでもないんだろう?」
と、心配の声が上がる。
瞬間、先程まで穏やかだった少女の目つきが変わった。
「うん、アタイね、じっちゃんが守ってきたこの団子屋と団子を、もっともっと世界に広めたいって思ってさ…!甲斐の国だけじゃなく、日ノ本中に広めたいんだ!」
強い決意を宿したその瞳を前に反対する人がいるわけもなく。
「そうかい、そりゃ寂しくなるわねぇ…。」
「ごめんね、でもじっちゃんには沢山良くしてもらってるし、アタイに何か恩返しできないかなって考えたんだ。」
少し寂しそうな声色でそう発する少女に
「まっ、でもおばちゃんたちは皆琴音ちゃんの事応援してるからね!帰って来たくなったらいつでもおいで!」
「土産話片手に食べる団子ってのもいいじゃない!」
「さらに美味しくなったお団子楽しみにしてるからね!」
沢山の声援が届く。少女は決意を一層頑なに
「みんな……ありがと…!アタイ頑張ってくるよ!」
と頷いた。
時は戦国。
一人の少女が、自身の作る団子を広めるための旅を始めようとしていた。
「ちょっとタンマ!今の話ってホントかい?」
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大丈夫、これくいし〇坊!万才じゃなくてちゃんとBSRの物語です。