※注意オリキャラが少し出てきます※
「ちょっとタンマ!今の話ってホントかい?」
「ん?アンタは…いつも団子沢山買ってくれる大食いのお兄さんじゃないかい!今日も来てくれたんだね、まいど!!」
「ハハー、まっおたくの団子食べてるの俺様じゃないんだけどネー…。ってそこはどうでもいいんだった!今の話!旅に出るって言うの!本当かい!?」
そこに現れたのは迷彩柄の着流しを着た明るい茶髪の男性。胡散臭さの残る笑顔だが今は大変焦っているようだった。
「あぁ、本当さ!甲斐の国を出てもっと広い世界でこの団子を広めようってね!」
「あっちゃー、マジかどうしよ…ここの団子がないと大将を上手く釣れな…じゃなかった。大将が悲しむよなぁー…」
やれやれ、といった風に男は呟くと
「広めるって言ったって一体どうやって広める気なんだい?此処の団子屋は畳むの?先代の面倒は?女の子の一人旅だなんてこのご時世で危なくない?俺様感心しないよー?」
ズイッっと一歩琴音の方へ進んできたかと思えば、畳みかけるように質問してきた。
「お、お兄さん落ち着いてくれよ!此処の味をそれ程までに気に入ってくれてるのは嬉しいけどさ、そんなに一気に質問されてもアタイ答えられないって!」
「あはーごめんごめん俺様焦っちゃってー?おたくの団子のね、味がこれはもうチョーお気に入りでさー。どうにかしてでも食べれないかなーなんて。」
そしてアハハーと軽く笑う男。
「えへへ、嬉しい事言ってくれるじゃないかい!そうさねぇ、旅についてはまだそんなに決めてないんだけど、西の方にでも行こうかなって考えてた所だよ!何しろアタイは海、ってものをこの目で一度見てみたいんだ!」
「なぁーるほど…西、ねぇ…。」
「それにほら!女手一つの旅は危険って心配してくれるのは有難いけど、これでも剣術は少しできるんだよ?」
カラカラと明るく、暗い話を吹き飛ばすように笑う少女。心配してくれてアリガト、と言いながら迷彩男の肩をパシッと数回叩く。
「そうそう!小さいころじっちゃん…あと、その時仲の良かった男の子とね、剣術の真似事をよくしてたのさ!
名は確か……、弁丸、って言ったかな…」
「……へーふーんそうなんだー俺様初耳ー」
ふと、男の纏っている空気が変わる。
それに気づきもせず、琴音は今頃元気にしてるかなー。まっあの暑苦しいほど元気な奴はどっかで元気にやってるだろうね!!
と、そう言って懐かしそうに眼を細めながら笑う。
「弁丸、ねぇ…。まっ、どうせ今頃元気にしてるでしょ」
「うん、だといいな!あの頃よりも断然強くなったんだからねアタイ!って大食いのお兄さんにこんな話してもって感じだよね、ゴメンゴメン」
そういいながらハイ、と団子を男に渡し「おまたせしました〜」と言いながら他の客の元へと少女は行ってしまった。暫くその後姿を見つめていた男だが、諦めたようにため息をついて口へとそれを運ぶ。
「ん〜まぁどうしても旅に出るってんなら俺様が止められることじゃないけどさぁー。
そこんとこどう思ってんのよ、ねぇ翁」
独り言とも捉えられる言葉だったが、はっきりとその一言にに応えるように、店の奥からご老人が現れた。
「佐助様…。この翁、真田忍隊を引退し早数年。隠居生活をこの店とともに過ごして参りましたが、どうやら私も人の情というものが残っておりましてな…どうもあの娘を甘やかしてしまうのですよ。いやはや好奇心旺盛なのは良い事ですが、ここまで天真爛漫に育つとは。」
「ふーん。まぁアンタには団子屋-情報屋-としても結構お世話になってるし?あの子は一般人なんだから好きにしな」
「はっ。有難き幸せ。」
翁(おきな)、と呼ばれたご老人が跪こうとしたその瞬間
「ああああーーーー!!!じっちゃん!!!!休んでなくて平気なのかい!?」
少女の元気な声が店内に響く。
同時に先ほどまでの張りつめていた空気が一瞬にして消え去る。
「ほっほっほ。琴音はワシの事を老人扱いしすぎじゃ。それより大事な話があるんじゃないのかい琴音。」
「あ、うん。あのねじっちゃん、アタイね、あのね…、旅に…!」
と、言葉を紡ごうとした瞬間
地響きとともに
「さぁぁぁぁすぅぅぅけぇぇぇぇぇぇえええええああああああああ!!!!!!!」
とんでもない音量の声が聞こえてきた。