「なぁなまえ、そこのリモコン取ってくれねぇか?」
この男、長曾我部元親がこの家に来てから早3か月目。
完全に馴染んでいる。我が家の生活に、完全に馴染んでいる。
何が凄いって、本人曰くついこの間まで戦国時代で武将をしていたらしい。刀持って、部下を慕えて、戦しながら。
それが今ではテレビを見ながら、スマホでオンラインゲームしながら私の目の前で寛いでいる。
1LDK、一人暮らしにしては少し十分すぎる程のこの部屋での生活が慣れて頃、事件は起きた。
会社に出勤する為準備をしていた所この男が突然現れたのだ。どこからともなく。
その時の私の焦り様と言ったら酷いものだ。例えるなら優雅にモーニングコーヒーを飲みながら寛いでいるときに宇宙人に出くしたような。
だって目の前に眼帯して大きな碇のようなものと小刀を持ったイケメンが急に現れたんだよ?おまけに上半身ほぼ裸と来た。まだ夏でもないのに。
この眼帯さんも自身の状況が把握できておらず「おい野郎ども!?」って大声出してたのでとりあえず落ち着こうと諭したんだったけ。ご近所さんに怒られるのだけは今後の私の生活を揺るがすって、そこだけは冷静に考えながら。
お互いにあたふたしながら、私は私で会社に欠勤連絡しようとしたけど、動揺しすぎて上司に「お母さん!!」って言っちゃったのは未だに思い出したくない。
「はい。リモコン、どーぞ」
右手にスマホ、左手にリモコンを持って目の前の番組に夢中になっている元親。
でもチラリと視界に入る、リビングの隅に置いてある刀と碇が彼が本来この時代で生きているべき人間でないことを思い出させる。
初めて出会ったとき、殺されるかも、なんて思想が思い浮かばなかったのは恐らく日常からかけ離れすぎていたから、そしてこの人の人柄だろうか。悪い人ではなさそうと瞬時に私の頭が判断したのだろう。我ながら危機感もう少し持てよって今なら自分にツッコむけれど。
でも改めてリビングの隅に視線を向けてそれらをじっと見てみる。
「ねぇ、元親」
「ン、なんだァ?」
テレビに集中しながら彼が答える。
「今、楽しい?」
「おう。この番組結構面白いな」
そうじゃない。そうじゃなくて、私はこうしていつも通りの日常を平和に過ごしてはいるものの、元親にとっては待ってる人とかがいる訳で。きっと彼なりに、表には出してないものの不安に思う部分は多々ある訳で。
それに彼の人柄の良さからも多くの部下から慕われてることもわかる。もしかしたら他にも大切な人がいるのかもしれない。
「そうじゃなくて、元親、」
上手く言葉に出来ず詰まる。私が心配したところで状況は変わらないだろうし彼の役に立つことは出来ない。そんなネガティブな考えがどんどんと生まれてくる。
更には、かれが急に現れたように、急に消えたら。そんな考えまで頭をよぎる。
けれどそんな私の抱えてる不安を取り除いてくれるように、
「わかってる。」
その一言と共に急に、抱きしめられた。
「お前の言いたいことも、思ってることも。だがよ、なんとかなる。いや、何とかしてみせる。
西海の鬼を見くびってもらっちゃァ困るぜ?」
ぶっきら棒だけど、優しく諭されるように。
あぁやっぱりこの人は一国を治めていただけの器の持ち主なんだなあぁーなんて思いながら、この見た目ヤンキーの優しい鬼にこうして今日も惹かれていく自分がいる。
彼がもし急に戻ることがあっても、
ここで過ごした時間が何よりの宝になるように、後悔はしないように。そう思いながらリビングの隅に置いてある刀に目をやった。
とりあえず彼がもっと寛げる様に、彼の大好きなゲーム環境整えてあげよ。今度はPCの使い方教えてあげようかな。
今日も我々、平和に過ごしてます。
------------------------------
あとがき
海賊だけに、航海(後悔)。なんっちって。
この男、長曾我部元親がこの家に来てから早3か月目。
完全に馴染んでいる。我が家の生活に、完全に馴染んでいる。
何が凄いって、本人曰くついこの間まで戦国時代で武将をしていたらしい。刀持って、部下を慕えて、戦しながら。
それが今ではテレビを見ながら、スマホでオンラインゲームしながら私の目の前で寛いでいる。
1LDK、一人暮らしにしては少し十分すぎる程のこの部屋での生活が慣れて頃、事件は起きた。
会社に出勤する為準備をしていた所この男が突然現れたのだ。どこからともなく。
その時の私の焦り様と言ったら酷いものだ。例えるなら優雅にモーニングコーヒーを飲みながら寛いでいるときに宇宙人に出くしたような。
だって目の前に眼帯して大きな碇のようなものと小刀を持ったイケメンが急に現れたんだよ?おまけに上半身ほぼ裸と来た。まだ夏でもないのに。
この眼帯さんも自身の状況が把握できておらず「おい野郎ども!?」って大声出してたのでとりあえず落ち着こうと諭したんだったけ。ご近所さんに怒られるのだけは今後の私の生活を揺るがすって、そこだけは冷静に考えながら。
お互いにあたふたしながら、私は私で会社に欠勤連絡しようとしたけど、動揺しすぎて上司に「お母さん!!」って言っちゃったのは未だに思い出したくない。
「はい。リモコン、どーぞ」
右手にスマホ、左手にリモコンを持って目の前の番組に夢中になっている元親。
でもチラリと視界に入る、リビングの隅に置いてある刀と碇が彼が本来この時代で生きているべき人間でないことを思い出させる。
初めて出会ったとき、殺されるかも、なんて思想が思い浮かばなかったのは恐らく日常からかけ離れすぎていたから、そしてこの人の人柄だろうか。悪い人ではなさそうと瞬時に私の頭が判断したのだろう。我ながら危機感もう少し持てよって今なら自分にツッコむけれど。
でも改めてリビングの隅に視線を向けてそれらをじっと見てみる。
「ねぇ、元親」
「ン、なんだァ?」
テレビに集中しながら彼が答える。
「今、楽しい?」
「おう。この番組結構面白いな」
そうじゃない。そうじゃなくて、私はこうしていつも通りの日常を平和に過ごしてはいるものの、元親にとっては待ってる人とかがいる訳で。きっと彼なりに、表には出してないものの不安に思う部分は多々ある訳で。
それに彼の人柄の良さからも多くの部下から慕われてることもわかる。もしかしたら他にも大切な人がいるのかもしれない。
「そうじゃなくて、元親、」
上手く言葉に出来ず詰まる。私が心配したところで状況は変わらないだろうし彼の役に立つことは出来ない。そんなネガティブな考えがどんどんと生まれてくる。
更には、かれが急に現れたように、急に消えたら。そんな考えまで頭をよぎる。
けれどそんな私の抱えてる不安を取り除いてくれるように、
「わかってる。」
その一言と共に急に、抱きしめられた。
「お前の言いたいことも、思ってることも。だがよ、なんとかなる。いや、何とかしてみせる。
西海の鬼を見くびってもらっちゃァ困るぜ?」
ぶっきら棒だけど、優しく諭されるように。
あぁやっぱりこの人は一国を治めていただけの器の持ち主なんだなあぁーなんて思いながら、この見た目ヤンキーの優しい鬼にこうして今日も惹かれていく自分がいる。
彼がもし急に戻ることがあっても、
ここで過ごした時間が何よりの宝になるように、後悔はしないように。そう思いながらリビングの隅に置いてある刀に目をやった。
とりあえず彼がもっと寛げる様に、彼の大好きなゲーム環境整えてあげよ。今度はPCの使い方教えてあげようかな。
今日も我々、平和に過ごしてます。
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あとがき
海賊だけに、航海(後悔)。なんっちって。