俺好みのすっげぇ可愛い子が甘味処にいる。その甘味処のパフェも俺好みのすっげぇ甘い味で、にこにこ笑いながら俺好みのパフェを俺好みの子が俺の前にお待たせしましたーって運んでくる。

これが一週間の充電。
話しかけたいけど忙しそうだから無理。せめて名前が知りたいけどネームプレートをつけてなくて、って言うかウエイトレスやってるのこの子だけだしやっぱ忙しそうだし聞けないよなぁ、なんて考えるのが毎回。
他の客の注文を聞いてにこやかに復唱する姿とか、キャラメル色の結んだ髪とか、盆に乗せた注文の品をやっぱりにこやかに運んでくる様子とか。俺はパフェを食いながらそれを見る。営業スマイルだとかそんなんじゃなくて本当に、つまり心から楽しそうに仕事をしている訳で、そんな彼女に俺は突然キミキミ、名前何て言うの?ボクさキミのこと気に入っちゃったんだけど!なんて言える訳がなくて。って言うか俺はそんなキャラじゃなくて。
そうこうしてる間にパフェは無くなる訳で、潔く精算して甘味処を後にする週末。エンドレス。

代わり映えしない週末に内心がっかりする。いつから俺はこんなにチキンになったわけ?窓際の席すら指定席みたいになってるし。ああもう今週末こそは、って毎回そんなんばっかり。
いい加減パフェ頼む時にでもさらっと名前何ですかとか聞ければいいのに。

「ご注文は何ですか?」
「あぁえっとォ、じゃあコレ、コレとか頼んじゃおっかなぁ!」

今日はいつもより彼女が注文に来るのが早くて、俺はいつもみたいにチョコレートパフェひとつ、って言うのをすっかり忘れてあわただしく用もないのに広げたメニューの新メニューを適当に指差した。習慣にすらなってたチョコレートパフェひとつ、って言えなくなるなんて俺はもう相当ジジイに向かっているのかもしれない。

「キャラメルハニーパフェお一つですね」

相変わらずにこやかに注文を復唱して、今週も元気と幸せをありがとう!なんて感謝してると彼女はなんと、俺に声をかけた。

「今日はチョコレートパフェじゃないんですね」

まさかまさかまさか!え、何コレ俺の妄想?夢?死ぬの?俺死ぬの?
にこにこ笑う彼女とキャラメル色の綺麗な髪が眩しくて、とりあえず俺は自分の左足を右足で踏んでみた。痛い。地味に痛い。

「…あ、ハイ、そろそろ時代もキャラメルハニーかなぁってアハハ」
「おいしいですよ!おすすめです。では、ごゆっくりしていって下さいね」

俺のとんちんかんな言葉にもにこやかにしていて、ああマジ可愛いとか思っているとテーブルを離れて二歩三歩。待って女神。カムバック!

「あの!」

思わず声をかけた俺ははい、と返事をする彼女に何て言ったらいいか分からないままえーと、と口からこぼれる。何俺ジジイなの?何が言いたい訳?ああ、もう!

「お名前、何て言うんですか?」