一番はじめに創造された人間が食べた実は、なぜリンゴだと言われてるのだろうか。
「ねぇ、何でリンゴ?」
あたしの声に、高瀬くんはひーひー笑っていた。意味分かんねぇなんて必死で笑いながら伝えてくれて、あたしは高瀬くんを一発グーでなぐってやろうかとさえ思ったが、あたしは高瀬くんより大人だと言い聞かせて踏みとどまった。
「あのさぁ高瀬くん?よく考えて。知恵の実がリンゴならリンゴ食べれば頭よくなるんじゃないの?」
そう言うとまた高瀬くんは大爆笑し、この人は笑いながら腹筋を鍛えてるんじゃないかと思った。筋トレとか必要ないじゃないか羨ましいツボの浅さだ。
しばらく爆笑したあと高瀬くんはつぶやいた。
「お前まじリンゴ食えば知恵つくと思ってんのかよ…っくくっ」
そのうち作り話だとか言いながら、ぶはって吹き出してまた笑いはじめた。そうか、作り話だったのかと高瀬くんへの地味な怒りが怒りを通り越して呆れに変わった。じゃああたしのリンゴを食べて頭よくなるって言う計画はパァな訳だ。
「リンゴの他にいちじくって言う説もあるけどな」
そう言った高瀬くんは、腹いてぇと言いながらまた笑った。いちじくかぁ。あの例えづらい色の種がいっぱいのあれだよね。あたしがつぶやくと不老長寿になるって話があるとか高瀬が言い出した。
不老長寿か、それならまぁ食べてみる価値はあるかもしれない。
「高瀬!今からいちじく買いに行こ!共に不老長寿になってやろうじゃないか」
あたしの発言に、高瀬はばかにしたような言動を重ねて笑い転げているが一分一秒でも人間てのは生きたいと思う生き物だろう。それも、好きな相手とならなおさら。
「なぁ、どっかの国でいちじくが恋の味って言われてるらしいけど」
高瀬はそれには笑わずに、あたしもそれには気付かないふりをした。
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