少し明るい紺色の前髪が、小さく揺れた。
可愛らしいヘアアレンジされている髪を纏めている赤いリボンもまた、前髪と同様に小さく揺れた。
「えっと……隊に、所属しないか、でしたっけ?」
低すぎず、けれど高すぎない音程の透き通った声が、静かな部屋に響く。その声の持ち主は黄緑色の瞳を不思議そうに揺らし、コテンと首を小さくかしげていた。
「あ、ああ……。四ノ宮君はとても強いから、是非ともうちの隊に入隊してもらいたいなと思って」
「……なるほど」
自身の右手を口元にあて、悩んでいるのか少しだけ唸り声のようなものを小さくあげた。
整っている顔立ちもあってか、その動作はかなり様になって見えているからだろう。「うちの隊に入らないか」と誘ったであろう男達の顔は、ほんのりと赤らんでいる。
それから少し経ったあと、ようやく答えが出たのだろう。ニッコリと愛らしい笑みを浮かべ、四ノ宮はバッサリと言い放った。
「えーっと、ごめんなさい」
「……理由を、訊いても?」
「理由……強いて言うなら——ボクが入って貴方たちにはメリットがあっても、ボクにはないから、ですかね」
"もういいですかね。それでは。"
そう言うなり、断りの言葉にピシリと固まってしまった者達の隣を四ノ宮は素通りして部屋の出口へと歩いていき、ドアノブに手をかけた。
そのまま扉を開き、部屋を出ていく直前。四ノ宮はニンマリと笑い、こう言った。
「ボクが入っただけで上の順位にいけるとか思ってたみたいですけど……それはありえないと思うんで諦めてくださいね〜」
入隊しないかと誘っていた者達の目が、大きく見開かれた。何かを言おうとしていたが、四ノ宮は素知らぬ顔で扉を閉めて立ち去った。