02:兄と父親


「あ、コータロいた」
「お、本当だ」

 二人で手を繋いで歩いていれば、瑞希がすぐさま諏訪を見つけた。瑞希が指差す方へと視線を移せば、そこには彼の言うとおり諏訪がキョロキョロと辺りを見回しながら歩いていた。
 東が繋いでいない方の手を上にあげ、諏訪の名を呼ぶ。その声が聞こえたらしい諏訪は、東達の方を見るなり大きく目を見開き、そして大股で歩いて来た。
 その目はつりあがっており、察しのいい者ならこの後どうなるかがすぐに分かることが出来るような表情をしている。

 諏訪は東達の方へ寄るなり、右手で握りこぶしを作る——そして、じっと己を見ていた瑞希の頭にゲンコツをお見舞させた(もちろん手加減はしている)。

「こんのっ! どこいってた、心配しただろ!?」
「……コータロがまいごになったから、ハルアキよんでさがしてただけだもん」
「あ? 俺が? ……だ〜っ、そういうことかよ……!」
「ははは。まぁまぁ、無事合流できたし良かったじゃないか」

 こうして瑞希が(力加減をかなりした)ゲンコツをくらう光景は東にとっては日常茶飯事なのだろう。諏訪を軽くなだめた後、ゲンコツをくらって涙目で頭を抑えている瑞希の頭をそっと撫でた。

「ここにいるってことは二人とも、食事をとるつもりだったんだろう? ちょうど俺も食事をと思っていたんだ。邪魔してもいいか?」
「ハルアキも、いっしょ?」
「ああ、一緒だ。ま、諏訪がオーケーしてくれたら、だけどな」
「……コータロ」

 期待の込められたグレーの瞳が、諏訪を見つめる。諏訪は一つため息をこぼしたあと、ぐしゃぐしゃと瑞希の頭を撫でた。

「米屋のやつに頼んで席取ってもらってるし、四人ならちょうどいいだろ。おら、行くぞ」
「悪いな、諏訪」
「コータロ、ありがと」

 取っているであろう席の方へと歩き始めた諏訪を追いかけるようにして、瑞希と東は早歩きで彼の後ろを着いていった。

 ——これらの光景を見ていたC級隊員達は言う。
 諏訪さんが年の離れた兄貴で、東さんは父親か親戚の叔父に見えた——と。




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