
悲しんでいた。
哀しんでいた。
苦しそうな瞳で。辛そうな顔で。
あの子はきっと悲しんでいたんだ。
あたしはそれを厚いガラスの向こうで見ていた。
そのガラスは特殊で、あの子からこちらは見えない。確かマジックミラーという物だ。
ああ、けれど。
何も見えない筈の中空を見る眼は。見えているわけではないのに、ガラス越しに合った視線は。
なんて哀しいんだろう。
とても痛くて、苦しさを堪えている姿。
ねぇお父さん、何でこんなことをするの?
“実験”と呼ばれるこの拷問は、そんなにすごいことなの?
ねぇ、生き物は傷つけちゃいけないんでしょう?
殴ったり、蹴ったりしてはいけないって教えてくれたのはお父さんなのに。
どうしてお父さんはあの子に針を刺して、いっぱい刺して痛いことをするの?。
痛いよ。
痛いよ痛いよ。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……。
か細い声が耳に残る。
あの子は動かなくなった。
動かない体は、別のお部屋で“解剖”するのだって。
ああ、新しい子が部屋に入れられて。
あたしはまた、厚いガラスの向こうを見ているだけ。
『助けて……タスケテ……!』
聞こえている筈の声に聞こえない“フリ”をしたまま。
助けて。
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小さなころのルミネッタ。
