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むせ返る煙草と酒の匂い。テーブルには散乱したナッツ類、フライドポテト、唐揚げ。
向かい側の席に座る男達は気分が上がっているらしく、自らの歌を披露していて、中には奇声を発している者もいた。


…何でこんな事になったんだろう。


私は、ただ友達…佐久間小雪に呼び出されただけよ。
どうしても今日のコーディネートをチェックして欲しいって言うから、重い腰を上げて来たのにコレ。


最初はカフェで待ち合わせだったわ…でももう揃ってたみたいで、そこから中々言い出せずにカラオケまでずるずる流れそうめん状態。
問い詰めたいけど、肝心の小雪はマスカラ振りながらテンションMAX。とても話を聞いてくれる様子じゃないわ。


「佐久間が言うからどんな奴かと思ったけど、美人だね。この後何処か行かない?」

「悪いけど、この後用事あるから」


テーブル越しに男達の一人が顔を若干こちらに近付けて、そう喋って来たので即答でお断りさせていただく。
顔は別に悪くないし、そこまでうるさくも無かったけれど…帰って、メニューの開発の続きしなきゃならないから暇じゃないのよ。期待を持たせる発言は、駄目よね。


すると、相手の隣で話を聞いていたもう一人の男…濃茶の頭髪にヘアバンド、ウインドブレーカーを着ている男が急に立ち上がった。


「おっ…ラッキー。同じ奴がいて良かった、俺も今から用事あるんだよ。」

「え…?」

「おーい、俺ら用事あるから抜けるわ!」


その男は私の腕を勝手に取ると、皆に挨拶して外へと向かう。
待ってよ、何が何だか…全然展開についていけないわ。
小雪はニヤつきながら私達に手を振ってるし………もう。



「…ちょっと、待ってよ!」


丁度カラオケから外へ出た所だった。掴まれた腕を振り払おうとすると、男からあっさりと離してくれた。


「悪い、一人じゃ抜け辛かったんだよ。…時間ももうねえし、とにかくサンキュ。」

「そういう事ね…」


てっきりさっきの相手みたいに何処か連れてかれるのかと思って一瞬焦っちゃったじゃない。
…思ってたよりも早く抜けれて、少しだけ助かったけれどあえてそれは言わない。


「そんじゃ、またな」

「さようなら」


私の帰る方向とは反対の道を走っていく背中に手を振る。
…皆が出てきてまた捕まる前に、私もさっさと帰らないと。









………あら?

「……またね…って、言った?」



それがどういう事なのか分かるのは、多分もう少し先の話。

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雨云