女とテロリスト


「てめぇ、どういうことだ?これは」

「あらお久しぶり」
外は祭りで賑わい私はとあるお洒落な料亭で美味しい酒と若い男との交流を楽しんでいた。それもつかの間外が騒がしくなり花火ではなく爆弾の音と振動が店を襲った。状況を確認する間もなく廊下から悲鳴が聞こえ戸が開く。そこには誰か刺したのか血がついた刀を片手にもつ過激派テロリスト高杉晋助殿がいた。皆が我先にと隙間からゴキブリのように逃げていき楽しかったパーティーは既に私と高杉晋助のみとなっていた。テロを起こして銀時と一戦交えたなんてそんな報告いらないぜ。

「俺に黙って見合いとはなぁ。俺への当て付けか?ああ?」

「大きな祭りにお前は参加したがるでしょ?それにお前が送った私の見張り人から婚活パーティーのこと聞いて来ただろうから、来るかと思って。お前まだ私なんかにうつつを抜かしてんのかよ。情けねぇなぁ」

「コイツ、」

「ご用件は?」

「テロが多発する江戸でわざわざ開業し、わざわざ祭りの日に無理矢理婚活パーティーの日程会わせて、こんなごてごてに化粧して俺に会いたくてしかたなかった奴がいるって聞いてな」

「誰もそんな事言ってない」

「へぇ、そうかい。」

「ていうか、刀振り回すあんたがここに来たから皆店から出ていったわよ。どうすんのよこれ」

「別にいいだろ。とりあえず行くぞ。」

「そうね、とりあえずここから立ち去った方がよろしそうね。何処いくのよ」

「は?ラブホだろ」

「犯罪者が使うなよ。足取りわかんだろ」

「あ?偽名使ったらいいだろ」

「あんたの格好わかる?包帯、派手な着物、ちび、目付き悪いなんてもう犯罪者呼ばわりなんだからね。あ、もう犯罪者か」

「ちびだけはゆるさねぇぞ」

「ふふふ(すっ)」

「なにする気だ」

「大丈夫よ。ただ渾身の一撃を貴方の股間にぶつけるだけ。慣れてるでしょ?」

「相変わらず物騒な女だな」

「お前がだらけてるようだったから。」

「…素直に寂しかったって言えよ」

「日本の女みたく奥ゆかしいでしょう?」

「お前のはそうとはいわねぇよ。おら」

「何?」

「行くぞ。とりあえず」

「仕方ないわね。とりあえず」
差し伸べられた手を取り私は立ち上がる。久々に間近で男の顔を見た。なんだ、もっと凶悪そうな顔にでもなったのかと思ったがただの鬼太郎じゃないか。ふふ。とりあえず…



「お前の怒りはわかった。だからその手に持ってるものを捨てろ」
晋助の言うとおり私は裏口からラブホテルとやらに向かった。最近のラブホは顔を見ないようになっているようで実に助かる。渡された鍵を取り指定された部屋に入り慣れたように私の身体に触ろうとしたので私はこんなこともあろうかと懐からアナル用のバイブを取り出した。しかも男ほじりなんてふざけたネーミングのやつだ。ここまで表情一つ変えなかった男の顔が歪んだのがわかった。

「何よ。こんなもので怖じけついたの?私の処女奪って置いて自分の処女はやれないってこと?」

「そういう問題じゃねぇよ。なんで俺が受けにならねぇといけねぇんだよ」

「?!…処女、捨てたってこと?」

「だからよ。なんでそうなる」

「私、貴方が喘ぐの、好きよ。」

「どや顔で言うなや!」

「晋助、私は怒ってるのよ」

「なんでだよ」

「そりゃあ、私よりも復讐を選んだのに私の罠に勝手に引っ掛かるわ、私なんかより大事なことあるくせにうつつを抜かしてラブホ?馬鹿じゃないの?総督様。私の旦那である前に主だろう?前を見やがれ、余所見すんなよ。」

「…ほんっとかわいくねぇ奴」

「何を今さら」

「…んで、どうしたらお前の怒りは静まるんだよ」

「そうね、処女くれるか、渾身のマラクラッシャー100連発か、去勢か、」

「お前どれだけ俺の股間に恨みあるんだよ」

「三回回ってワンって言うか、貴方の恥ずかしい過去を政府に売り付けるか、銀時達に貴方の隠れた性癖チクるとか、あとは…」

「っわかったよ。ほら、」

「っ」

「…」

「…(珍しく素直だな)」

「…」

「…(よし、押し倒そう)」
私は大人しく晋助に押し倒される。前向けよ、自分の言葉が脳裏に過る。わかっている、コイツよりも前を向けていないのは私だ。私は晋助が来ないことよりも来ることを望んでいた。本当は望んではいけないのに。久々に私の体を誰かが触る。女としての私が喜んでいるのがわかる。女とは愛されたい生き物だと久々に痛感した。しかしこの日本に生まれたからにはそれ相応の愛し方がある。私はそれを選んだ。コイツ選んだ選択を見守ること、守ることそして邪魔しないこと。戦うことができない私にはコイツにできることはするつもりだ、ただそれは愛を育むのではなく志を貫くためにだ。そのために私は技術も名誉も手に入れた。しかしここ数年の想いがこの行為によりぐらつくのがわかった。一緒にいたい、だなんて思ってしまう。

「相変わらず、愛撫が雑ね。」
だから照れ臭くていつもコイツの前では口が悪くなる。

「うるせぇ。黙って抱かれてろ」

「銀時の方が互いにいいところ探してくれるわよ」

「おまっ銀時といつの間にっ」

「(ま、嘘だけど)」

「(あいつん家あとで爆発させる)」

「(あ、萎えてる)」
銀時ごめん。多分きっと近々大変なことになると思うけど、許してね。イチゴミルクあげるから。なんて言葉を胸にしまい、晋助に不意に接吻をするとなんとまぁ、驚いたような表情をするから笑う。それが面白くないようで仕返しと言わんばかりに深い接吻をされた。名残惜しそうに互いが離れた時にどちらかのもわからない唾液がやらしく垂れた。何度かした行為にまだ慣れない私にアイツは勝ち誇ったように笑い私の首もとに一度触れてから舐めてそして印を付けた。痛みとこれから行われるであろう行為に恐怖と喜びと怒りとで涙が出た。それをアイツは笑いながら泣き虫と罵りお気に入りの浴衣をはだけ始めた。私は憎いそいつの背中に手を回した。



朝起きて私はシャワーを浴びて寝ていたそいつを置いてそのまま一人でホテルを出た。シャワーを、浴びている最中にアイツが付けた所有跡の多さにイライラしたので寝ている口にバイブを突っ込んで来てやった。

その数日後何事も起きないいつも通りの生活が訪れた。が飲みに出掛けた先に手に包帯を付けた銀時に出会った。あーやべ。

「あら、お久しぶりね」

「久しぶりじゃねぇよ。桃子ちゃん?なんか最近よく家に爆発物が届くんだけど何か知らない?」

「さぁ?」

「…お前、わかってやってるだろ」

「なんのことかな。あ、これお詫びのイチゴミルク」

「やっぱり心当たりあるんじゃねぇか!」

「ふふふ」

「えらく、機嫌いいな。会えたのかよ」

「…うん」

「(いつもこう素直ならなぁ)」

「でもなんか体力なくなってたわ。近いうちに枯渇してしまう。すっぽんでも送ろうか」

「誰が高杉の晋助君の心配しろって言ったよ!!ちゃんと仲直りしたのか聞いてんのっ」

「仲直りもなにも喧嘩してない。」

「は?」

「攘夷戦争で私達は違う道を歩いている、それはお前達ともいっしょだろ。私はお前達の下らない喧嘩の後始末するそれが私の役目だから。」

「不器用なんは相変わらずだなお前達」

「女とは待ってる事しかできないのよ。そして殿方の志を妨げる事こそが罪。私の浅はかな罠に引っ掛かってるアイツに渇を入れてきただけ。自分にもね」

「とりあえずてめぇの旦那に負わされた傷と建物どーしてくれんの?」

「さぁ、酒を飲もう」
寂しさを紛らわすためにさ!



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