私は昔からよく苛められる。これは個性がサンドバッグだという理不尽な事からなのだろうか、小さい頃に目をつけられてしまったジャイアンもとい爆豪勝己によるものが多かった。
物心ついた時には私達は一緒に遊んでいたが小学生の頃から個性故にどんだけ叩かれても痛くないし怪我もすぐ回復してしまうためによく苛められた。爆豪君は私をサンドバッグと呼びよく殴られた。中学も何故かそのサンドバッグ生活が続いていた。爆豪君は私が視界に入った瞬間に私をわざと転けさせたりこの名前の通り気にくわない事があることに殴った。その時からブスやら嫌いとやら罵られたけどそれならば何故私に構うのだ、と一度聞いた事があったがまた蹴られて無視された。うむよく分からない。中学に上がるまでは爆豪君からの攻撃しかなかったがそれを面白がっていたその取り巻きにも絡まれるようになっていた。その頃私は嫌がる事が相手を喜ばせているのだと考察し常に無を貫いていたが爆豪君にはあまりきいていなかった。いや、ほんの少しだけ薄気味悪そうな顔をしていたがただそれだけであった。
私は肉体的なリンチくらいなら慣れているが流石に年頃の考えている事はえげつなく先輩を連れてきて空き教室で私をレイプさせようとした。無表情な私をいかにその顔を歪ませるのか試しているのだろう。私は無を貫いてやろうとそう思った時だ。助けが来た。先生でもなく私の事を心配してくれる緑谷君でもなく全ての根源である爆豪君だった。私に覆い被さっていた先輩達や自分の取り巻き達を一網打尽にし、恐怖に怯えた輩は一人残らずその場を去った。

「俺以外に苛められてんなよブス」
その当時に言われた言葉であった。

「ごめん」

「お前、そんな時でも無表情なのかよ」

「…っそんな、わけない」

「…」

「楽に、なりたい」

「…」
私の言う楽になりたいというのは死にたいと類似していた。こんな怪我されて考えないはずがなかった。しかし私の個性はサンドバッグ。ダメージを最小限に吸収してしまうためにいくらやっても死ねないのだ。故に私は無を貫くことしか選択肢がなかった。それを最大の敵に弱味を見せてはならないと心に誓っていた私だったがその相手の前で初めて涙を流した。その後あろうことか自分の学ランを服の乱れた私にかけてきた。いつもなら爆豪君は罵ってきたりするのだが今回だけはただ私が泣き止むまでずっと目の前で突っ立っていた。今思えばそれが最初の彼の優しさだったのかもしれない。
その後、爆豪君にもその取り巻きにも苛められることもなく中学を卒業した。勿論優秀な爆豪君とは違い私は頭も悪かったので普通の高校を選び、初めて平穏な日々を送ることができた。


と思うだろう、実際は平穏な日々だった。しかし私にとっての平穏な現実とは簡単に崩壊していった。両親が借金をしてそのまま私をおいて蒸発していったのだ。高校から帰った家にはやくざのお兄さん達が私を見つけてニヤリと笑いそのまま風俗行きだ。借金は1億。そして私は高校もろくに行くことができずに闇の世界で生きざるおえなくなった。すぐに夢の処女も見ず知らずの男に奪われた。この個性故に変態なお客が集うようになり巷では有名になっているそうだったが早く死にたくてしかたなかった。私の人生は何処で間違えたのだろう。なくならない借金に死ねない体。

「おい」

「っ」

「なまえっ」
そんなある日のことだ、指名だと言われてラブホに向かいその場にいた客に私は久々に動揺をした。あの最大の敵だった爆豪君、大人になり大人になった彼に逸物の恐怖を感じた。

「なん、で」

「テメェがどんな風な生活をしていたのか聞いた」

「…だから」

「ほら」
ドサドサと鞄から出てきたのは札束の山。恐らく借金分はあるだろう。しかし

「なんで」

「…あ?」

「なんでそんな事するの」

「テメェを助ける為に決まってんだろうが」

「…」

「そもそも俺がヒーローになったら迎えに行くつもりだったのに、テメェは借金女になってるし、処女も奪われてるし、顔死んでるしよお!」

「迎えに行くって何」

「…」

「好きだ。ずっと。お前しかいねぇ」

「サンドバッグがでしょ?…嘘つかないでよ」

「拒否権はねぇ。もう店も違法サービスで御用になってるからなぁ。戻るところはねぇぜ」

「え」

「死にたいんだろ?ならお前の人生をこの金で買う」

「…馬鹿じゃないの」

「俺は冗談が嫌いだ」

「…そうかもね」

「笑わせてやる。今までの事馬鹿なことしたなって笑えるくらいに」

「傲慢な人」

「ああ?」

「ふふ、」
久々に笑った気がする。傲慢な態度の割には手は震えているし余裕なさそうな爆豪君に笑った。それを不服と感じたのだろう彼は私を強く抱き締めた。当の私は彼をかつては恨んでいたこともあったが金を積まれてしまっては行く宛てなどない私は彼についていくことしかできなかった。仕事として。彼はそれを受け入れその中で私を抱かずに共存生活を始め気づけばプロポーズされて私は今日結婚するらしい。


「おい」

「何」

「幸せにする。」

「ふふ、せいぜい頑張ってね」

「おう」
私は彼が本当に好きなのか今でも怪しい部分があるしこんなに、面白味がない女を好きになる理由もわからないが白いタキシードを身に纏った彼は確かに有言実行のいう名の元で私を幾度も笑わせてくれた。故に信じて一緒に生きて行きたいと自分から彼の手を握りしめた。

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