爆豪勝己という少年と運命を感じずにはいられない程の感動的な再会と同時に私のファーストキスを捧げた後、爆豪君は私が出勤している時間に必ず会いにしてくれた。といっても再会時のリベンジとしてだったが私にとってはこの上ない楽しみであった。なんせ私の事を見てくれるのは彼だけだ。私を殺してくれるほど憎んで(愛して)くれるのは。その誠意をこめて彼のためにリベンジに来たときは絶望的にけちょんけちょんにしてやった。そんなある日の事だった、雄英の体育祭の時からヴィランは爆豪君の事を目をつけていたらしくこの度の林間学校でまさかの誘拐されたとの知らせを受けた。私自身荒れていた時期もあったためヴィランに知り合いがおりそしてこの事件の主犯にも心当たりがあった。


「おい糞ババァ!」

「やぁやぁやぁ爆発君!久々だなぁ」

「んでここにいるんだよ!」
私の予想は見事に的中し、拉致された現場にて爆豪君を発見したのが今の現状である。
ん?何故ここにきたのかって?

「そりゃあ!君の悔しそうな顔とか嫌そうな顔を見る為には私は何処にだって現れるわ!」

「きめぇ!」
現に暴れる可能性があるために拘束されており自由に動くのが口だけと無惨な姿。

「失礼しちゃうわね!私は君の事をこんなにも愛しているというのに!」

「っ!死ねや!」
両手を挙げてやれやれといった動作をして簡単なため息をついた私に爆豪君にはうぜぇと罵声を浴びせた。

「質問に答えやがれ!」

「あぁ、弔さん…いや君が先程啖呵を切っていた男性にヴィランに以前スカウトされてね、勿論つまらないと断ったが金をちらつかされてねアルバイトという形でたまに治癒してやってるんだ」

「テメェは一体何がしたいんだよ!」

「あぁ安心しておくれ爆豪君、私は君の事しか目に見えていないよ。だってここに拉致されたってその弔さんから聞いて、苦しんでる顔を見に来ただけだから」

「あぁ?!」

「そう、その顔!堪らないっ」
そのこの世の終わりのような絶望的な顔。再びきめぇ!と罵る爆豪君に私は笑顔で頬を撫でた。その不快そうな顔もたまらないわね。

「大丈夫、君の事は必ず守るわ」

「…」
そうすれば君は逆上して私を更に意識してくれるのでしょう?

「だから私の事を嫌いでいてね」

「やだね!」

「え」
まさかの拒否に私は戸惑った。更に彼は続けた。

「何で俺がテメェの言うこと聞かなきゃいけねぇんだよ!ふざけんな!テメェは俺が守る!」

「君、私に前にズタボロに負けてなかったかしら」

「こっから強くなんだよ!そんでテメェなんかに負けねぇくれぇ強くなりゃあ関係ねえだろ!!」

「そんな日が、くればいいね」

「来るにきまってんだろ!」

「そう、か」

「なんで泣いてんだよ!」

「いや、なんか嬉しくて」

「…意味わかんねぇっての」
そう言って爆豪君は不貞腐れたようにそっぽを向いた。
私はこの個性故に誰にも愛されなかったし、守られる事なんてなかったし今後もこのチート個性があれば生きていけるはずだった。しかしこの個性故に私は愛を失った。それに対して納得も諦めもしていたはずなのに彼は何故そんな事を言ってくれるのだろう。守る、だなんて昔ならきっと嘘だなと思っていただろう、しかし私は彼の言葉を真に受けた。つまりは守られたい、とそう切実に思い、それだけではあきたらずにそして彼からの本当の愛が欲しいと感じてしまったのだ。しかし時はすでに遅いだろう、彼は私の事が好きになることはないだろうし先程の守るという発言も私への反抗で出てきたに過ぎないのだから。流した涙はそんな馬鹿な女が愛を自覚し同時に失恋したものだった。

「…泣くなよ」

「うん、爆豪君。私よりも強くなってね。約束だから」

「……ったりめぇだ糞ババァ」

私は気づかない、その彼の発言の後に顔が赤くなっていた事を。私がどういった意味で守るだなんて恐ろしいことを言ったのか知るのはだいぶ先の事である。


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