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襖の開く音に目を開ける。
綺麗な金髪、アメジスト色の瞳。



「すまん、起こしたか?」


『ううん。寝てなかったから。』


「そうか。」



布団から出て、鏡の前で髪を梳く彼女の背中に抱きつく。
しなやかで女性らしい身体。決して大きくないその身を挺して吉原を守るこの人、月詠。

彼女と私が出会ったのはもう遠い昔。まだ2人とも幼くて、小さな手を握り合いながら泣いた事もあった。
それでもいつからか月詠が泣く事はどんどん少なくなって、彼女はこの街の番人になった。



「ふ…そんなに焦れるな。ちゃんと後で構ってやる。」


『そんなんじゃない。』


「…儚、」



そっと振り返った月詠の指に顎を掬われる。
彼女が自分の顔に傷を付けた日を、昨日の事のように覚えている。泣いて止まらない私を笑って抱き締めた温もりは、あの日から変わらない。



「ぬしの瞳は、本当に月の様に綺麗じゃ。」


『ん…』



下瞼を撫でる親指に片目を瞑る私に口角を上げて、そっと唇が重なる。

私は太陽も月も知らない。どんな色なのかも、どれほど眩しいものなのかも、絵やテレビでしか見た事がない。
吉原で産まれた私は人目を忍んで育てられ、