レッスン終わりの賑やかなスタジオの中、壁に背中を預けてジミニヒョンとテヒョンイヒョンが戯れているのを見ていた。
バタバタと走る大きな足音が聞こえて、乱暴にドアが開けられた。何事かと思って見ると、息を切らしたマネヒョン。
スタジオに入ってくると、真っ直ぐに俺の方に歩いてくる。
「どうしたんですか、ヒョン」
MG「…ジョングガ、落ち着いて聞けよ。」
JM「何、怖いよ。」
JN「ヤーなんだよ怖い顔して」
ただならぬ雰囲気に他のヒョン達も集まってきても、マネヒョンは俺だけを見据えている。
強い視線の割になかなか話出さないマネヒョンの様子に、よっぽどの事だろうと考えを巡らせるけど、生憎心当たりがなくて困ってしまう。
「ヒョン?」
MG「……ユリちゃんが、亡くなった。」
その瞬間、世界から音が消えたようだった。
「…………は?」
RM「ちょっと、亡くなったって、」
「…睡眠薬の過剰摂取だそうだ。」
ユリが、死んだ?それも、自らその道を選んで。
必死に思い出さないように蓋をしていた記憶達が脳内に流れ込んできて、息が苦しい。
誰より暖かくて優しくて、花が綻ぶように笑うあの子が。繊細で、儚げで、だけど確かに強い意志を持って生きていたあの子が。
「………俺のせいだ…」
TH「ジョングガ、」
ユリ、君は本当に居なくなってしまったの?
どうして、なんで。君はこの世界に必要な人なのに。
「…ユリは…?」
MG「息を引き取ったのは1時間ほど前で、今はまだ病院に居るそうだ。」
会いに行かなきゃ。
頭では、もう遅いと分かってる。それでも、もうユリを1人にしたくない。
立ち上がって出ようとした俺を、マネヒョンが制するように前に立つ。
MG「ジョングガ、」
「退いてください。」
MG「駄目だ、今はまだ、」
「じゃあいつになったらいいんだよ!!」
JN「ジョングガ、」
思わずマネヒョンに掴みかかった俺の手を、ジンヒョンの手がそっと包んだ。
それは俺を責めるものではなくて、ただ痛みを分かち合ってくれているのが伝わって、それがまた悲しくて。
「あの時もあの後も、もう十分に我慢しただろ!?俺達がどんな思いで過ごしてきたか、アンタ達には分かるはずない。俺が、どれだけ会いたくて、…ユリが、ユリがどれだけ…っ、寂しかったか……」
分かってる。マネヒョンだって、パンPDだって、何も意地悪で俺達を引き離した訳ではない。俺達の為でもあったことだって分かってる。
それでも、俺には彼女が必要だった。そしてきっと、彼女にも。
流れてくる涙が俺を惨めにさせた。
泣いたって、彼女を1人にしてしまった過去は変わらない。彼女はもう、戻って来ない。
「ヒョン、お願い、お願いします…ユリに、会わせて下さい…っ」
力無く崩れ落ちた俺の肩をテヒョンイヒョンが抱く。ヒョン達も目を赤くしていて、俺をぎゅっと抱き締めたのはマネヒョンだった。
MG「ごめんなジョングガ…お願いだから、今は耐えてくれ…。」
「っ…ユリ、…ユリ……」
ユリ、今更もう、全部全部遅いけれど。
やっぱりどんな手を使ってでも、君の手を離さなければよかった。
例え、死に物狂いで掴んだこのステージを手放す事になっても構わないって、本気で思ってたのに。
結局俺は臆病で、何の力もなくて。言われるがままにしか出来なくて、どうにか誰かや何かのせいにしてその苦しさから逃げようとした。
君にそんな悲しい決断をさせてしまったのは、俺だ。