漢字ふりがな




頭がクラクラする。
今日は仕事関係の人との飲み会で、ついつい頑張って飲み過ぎてしまった。
宿舎に帰ってきて、無意識に辿り着いたのはユリの部屋。
ソファーに寝転んで目を閉じていると、ドアが開く音にノロノロと体を起こす。



『グク?』


「ユリ、おかえり…」


『飲み過ぎたの?具合悪い?』



鞄を下ろして隣に座るユリの肩に額を預けると、優しい匂いが鼻を掠める。
そっと頭を撫でてくれるユリに堪らなくなって、ぎゅっと抱き締める。



『お水は?』


「いらない。ユリ、お疲れ様。」


『うん、ありがとう。』


「何もされなかった?」


『ふふ、大丈夫だよ。』



ユリが1人の現場はいまだに不安だ。
昔のユリの傷付いた姿をふと思い出して、抱き締める腕に力を込める。



『グク?』


「ねえユリ、俺本当に…ユリが大事だよ。」



大事だ。本当に。ユリ以上に大切なものなんてない程に。
だけど、俺が本当に言いたい言葉は別のもので。今までも伝えた事はあるけれど、気安く口にする事は出来ないもの。

小さく息を詰まらせたユリも、きっとそれには気付いてる。



「ユリが傷付くのは耐えられない。もう、嫌なんだ…」


『…グク、私大丈夫だから。』



涙声のユリにはっとする。

少し身体を離して顔を覗き込むと、優しく微笑むユリ。



「…ごめん。」


『謝らないでよ。ありがとう、心配してくれて。』



どうやら俺は、アルコールでセンチメンタルになってしまっているようで。
大丈夫だと分かっていても、ユリがちゃんとここにいると実感したくて堪らなくなった。

唇を重ねると、びっくりしたように大きな目を更に見開いた。でも、次の瞬間にはふわりと笑って同じように返してきたユリに、俺覗き込む頬も自然と緩んだ。
もう1度、今度は啄むようにキスを繰り返す。応えてくれるユリにまた愛しさが溢れる。

ああ、好きだ。どうしようもなく好きだ。



「ユリ、」


『っ…ん?』


「…好き、好きだよ。」



毎日、毎分毎秒思ってる。だけど、簡単には言えない。
俺達がメンバーじゃなかったら、普通の恋人だったら、思う度に伝えて良かったはずの言葉。
そう思うと胸が張り裂けそうなくらいに苦しい。それでも、愛しさには敵わないけれど。



『私も、好きだよ、グク。』



今日は、今だけは、ただ愛し合わせて。今だけは、俺だけのユリ、ユリだけの俺で居させて。