少しの気怠さを感じながら目を覚ますと、腕の中に感じる低めの体温と視界に入る柔らかい髪の毛。顔にかかった髪を耳に掛けて見えた横顔は、眠っていても綺麗で。

ああ、世界一幸せだ。そんな気持ちが心の底から湧き上がってくる。



『ここ…?』


「ごめん、起こした?まだ寝てていいよ。」


『…ん、』



2つ年上の彼女のユリさん。綺麗で聡明で、それでいて可愛くて。
普段は俺より早く起きてご飯の用意をして俺を起こしてくれるから、実は寝起きが悪い彼女の起き抜けの姿が見れる時は嬉しかったりする。

今も俺の胸にぐりぐりとおでこを擦り寄せている彼女は、多分頑張って頭を働かせようとしているんだろう。
年上に加えてしっかりした性格が相俟って、ユリはいつも、俺の前で完璧な彼女で居てくれようとする。
付き合った当初からするとだいぶ甘えたり頼ったりしてくれるようにはなったけれど、それでもこういうふとした瞬間、俺はほんの少し胸が苦しくなる。

彼女の全てを委ねて、預けて、甘え切って欲しい。
ただでさえ男女では精神年齢が違うと言われている中、年下の俺は彼女からしたら一体どのくらい頼りない子供に見えてるんだろう、なんて。



『ここ、』


「ん?」


『手…』


「手?」



彼女を抱き寄せていた腕を解いて手を見せると、細い指が絡まる。



『綺麗な指』


「ふふ、好きですよね俺の手」


『うん、好き。』



そっか、この指でも昨日彼女の身体を確かめて…なんてじんわりと身体が熱くなる。
俺でも目が覚めた時に少し怠さが残っていたくらいだから、ユリさんはきっとだいぶしんどいだろう。



「身体辛くないですか?」


『んー?ふふ、』


「ごめんなさい、無理させて。」


『謝らないでよ。幸せだったよ?』