少し潤んで煌めく瞳を、真っ直ぐに見つめることが上手く出来なかった。
目は口ほどに物を言う、なんて言うから。
こんな状況を前にした自分の目が、彼女を怖がらせる破片を灯していない自信があまりなくて。
優しく、扱えるだろうか。
ユリさんを心から愛してる。大事に思う気持ちも、確かにある。だけど、結局俺もただの男だと自分で理解しているから。
ずっとこんな風に触れたかった。それが叶わなくても傍に居られるだけでと思った気持ちに嘘はないけれど、近くに居ると触れたくて苦しかった。
『ここ、』
「怖く、ないですか?」
言ってハッとした。
怖くないはずはない。彼女がどれだけ頑張ってくれているのかなんて、分かってるはずなのに。
そう思った事が伝わったのか、ユリさんはただ優しく微笑んで俺の頬をなぞる。
『うん、大丈夫だよ。ここの事、大好きだし、信じてる。だから大丈夫。』
「怖くなったら、嫌になったら、突き飛ばしてください。そしたら、ちゃんとやめるから。」
言葉だけの嫌、だとさ、可愛くてきっと、止まらないから。
そんなことを思いながらゆっくりと唇を重ねて、首に腕を回したユリさんの頭を撫でる。
絡め取った舌が熱くて、一気に体の中心が熱くなるのが分かる。
肌触りの良いパジャマのボタンの最後のひとつを外して唇を離すと、はだけた場所から見える細い鎖骨と大きく呼吸する胸。
『ね、ここ』
「ん?」
『ここも、脱いで?恥ずかしいよ…』
本当に顔を真っ赤にして言うから、可愛くて笑ってしまう。
これからもっとずっと恥ずかしいことをしようとしてるのに、持つのかな、この人。
お望み通りTシャツを脱いでベッドの下に落とすと、目を泳がせるユリさん。
「ユリさん?」
『いや、その…なんか、かっこよくて…』
「え?」
とうとう吹き出してしまった俺を不満そうに睨む。
「いつも見てるじゃないですか」
『違うもん、なんか、違うんだもん…』
目を逸らしながら語尾がどんどん小さくなって、ああもう、先にこっちがどうにかなりそう。
小さな手を取って俺の胸に当てると、自分の鼓動が早まっているのが改めて分かる。
「ちゃんと見て、触れて。全部ユリさんのだから。」
だから、あなたの全部も俺に下さい。
必ず大切にすると約束するから。
触れるだけのキスを唇に落として、首筋に顔を埋める。
真っ白で、女の子の匂いがしてクラクラする。
舌を這わせるとぴくりと揺れた身体を宥めるように指を絡めて強く握る。
強張りながらも委ねようとしてくれているのが分かって、愛しくて、大切で。
女の子にこうして触れるのは初めてじゃないのに、こんな気持ちになるのは初めてで、自分でも戸惑ってしまう。
強く触れて痕を残したいなんて感情も初めてで、だけど少しだって痛い思いをさせたくなくて抑え込む。
下着の上から胸を包むと、生地越しでも伝わる柔らかさに理性がぶっ飛びそうになる。
『や、ここ…』
「ふふ、ユリさん、顔真っ赤」
『だって…』
抱き起こして着ているものを取り払うと、恥ずかしいのかぎゅっと抱き着いてくるのが可愛いけど、肌と肌が直に触れ合って堪らなくなる。
「ねえユリさん、無意識なんですか?」
『え?あ、いや、その…』
狼狽えるユリさんに、ああ、本当に初めてなんだなあ、なんて。彼女の苦しさの証でもあると分かっているけれど、嬉しく思ってしまうのも本音で。
抱き締め返したまままた押し倒して見つめると、恥ずかしそうにしながらもちゃんと俺の目を見てくれる。
「まだこのままで居るから、全部脱がしてもいい?」
『…ん、』
小さく頷いたユリさんの身体に手を這わせて、その細さにぎょっとしてしまう。
ショートパンツとショーツに手を掛けると、少し腰を浮かせてくれた動作に安心する。すべすべの脚に触れながら抜き取って、その感触すら甘ったるくて。
体を密着させたまま胸に触れると、俺の手の中で柔らかく形を変える。
あやすように顔や首や鎖骨にキスをして、もう片方の手はしっかりと繋いだまま、色素の薄いそこを口に含む。
『っあ、んぅ…』