『うわああ!』
「え!?」
「あ、儚!」
キャミソールにショートパンツだけで寝室から出ると、知らない女の人が居た。
そんな格好で出て来たら駄目だろ!と言いながら私にコートを着せるシャーロック。
いやいや、怒りたいのは私の方なんだけど。
『人連れてくるなら先に言ってよ!』
「え?メッセージ入れ…あれ、送れてない。」
『はあ…』
「…あの…?」
シャーロックは賢い。ただしっかりしているかと聞かれればそうではないことも多々あって、そこが可愛らしい所でもあるのだけれど。
「煩い。」
『シャーロック、お客様に失礼でしょ。』
「客じゃない。ただの訪問者。」
『変わらないじゃない。えっと、着替えてからコーヒーでも淹れますね。』
「あ、いやお構いなく。」
「奥でゆっくりしてていいよ。昨日無理させたし。」
『ちょっとシャーロック!もう…ごゆっくり。』
きょろきょろしている女の人を他所に相変わらず自分のペースで喋り続けるシャーロックを睨むと、何も響かないとばかりに涼しい顔をしていた。
寝室に戻ってクローゼットを開ける。
クロエのニットにデニムを履いて、ピアスをカルティエのダイヤからピアジェのローズに変える。
ティファニーのブレスレットの隣にオメガを巻いて、髪を1つに纏めて鏡を見る。
軽くメイクでもしたいけど、シャーロックはあの調子で、お客さんをもてなすという事を知らない。あまり放って置くのは得策ではないと思って、そのままリビングに顔を出した。