ゆっくりとシャーロックの顔が近付いてきて、そしてそっと唇が重なった。

女の人とキスをするのは初めてで、こんなに柔らかくて優しいものなのか、なんて呑気な事を思った。
少し冷たいそれをもっと知りたいと思って背中に回していた腕に力を込めると、シャーロックの手が首の後ろに回って引き寄せられる。



『…、っ…シャー、ロック…』


「サラ」


『、?』


「サラって呼んで」


『…サラ、』


「うん」



キスの合間に呼んだ、知っているだけだった彼女の本名。
伺うようにしながら、それでも確実に深くなっていくそれに、頭の後ろがぼやけていく感覚がする。



『サラ…っ』


「ん?」



彼女の肩を押して顔を離した私に、不安そうな顔をしたサラ。



「…嫌、だった?」


『ううん、違う…。なんか、…ふわふわして、ドキドキ、してる…』


「……」



こんな感覚になるのは初めてだから、自分が変になってしまうのではないかと少し怖くなった。無論、全くもって嫌ではない。



「…あんまり可愛い事言わないで。」


『え…』



そっと押し倒された時も、頭の後ろにサラの手があった。本当に、彼女はどこまでも優しい。



「大丈夫よ。心配しないで、私の事だけ考えていて?嫌だとか怖いとか思ったらすぐに言って。貴女が嫌がる事は絶対にしたくないの。」



柔らかい表情で私の頬を撫でるサラ。
私がどれほど彼女が好きか、伝わっていないのだと思った。そんなのは当たり前だけれど。

彼女からの愛は痛い程に伝わっているのに、何だか申し訳なくて。



『ねえ、』


「うん?」


『…好きだよ。』


「っ…」


『大好き、サラ。』


「…私も、大好き。愛してる、ユリ。」



私の言葉に瞬時に瞳を潤ませた彼女が心の底から愛しい。

貴女となら怖いものなんて何も無いと言う事を、これから私の全てを懸けて伝えていくから。