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*ルーイヒとエドワード
*約7年前
大人。大人。大人。
気付けば皆、周りは大人ばかりだった。
友だちも遊ぶ相手もいない、窮屈な王宮。まるで大きな大きな鳥籠みたいで。王女であることが何よりも苦痛であった。
ある日、ルーイヒは王宮から抜け出した。
五歳になったばかりのルーイヒの足では、森に囲まれた広大な裏庭の果てでさえ辿り着くことは出来なかった。
逃げ道も帰り道も分からず途方に暮れる。歩くことに草臥れて、その場でしゃがみ込んだ。
――見つかなければいいのに。
そう思う反面、このまま誰も見つけてくれなかったらどうなるのだろう、と酷く不安になった。
「見付けましたよ、ルーイヒ殿下」
一人の若い騎士が、ルーイヒへと駆け寄る。恭しく両膝を折った。
「このような場所にいらしたとは。ルーイヒ殿下はかくれんぼが大変御上手であらせられる」
「つれもどしにきたのか?」
「実は、私も剣術の稽古から逃げてきました」
「きしのくせに」
「お恥ずかしい話ですが、私は騎士のくせに騎士にはなりたくないのです」
「……私といっしょだ」
騎士になりたくない騎士は、紺色の双眸を細めて微笑った。
「かくれんぼは見つかれば負け。さあ、私と一緒に王宮に帰って頂けますね」
「もし、みつからなかったらにげていいの?」
「左様でございます。ですが、如何なる時でも貴方を見つけてごらんになりましょう――必ず」
手を差し出す。小さな手の甲へ、忠誠のしるしが落とされた。
ひとりかくれんぼ
王女になりたくない幼い頃のルーイヒと、騎士になりたくない若き頃のエドワード
(ブログより再録)
