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Category:蒼国マスカレイド


*カイル
*12年前・戴冠式


 厳粛な空気に包まれるレミンスター大聖堂。
 美しい光源の見せ方を計算し作られたシャンデリアの幻想的な光が溢れる大広間。
 目がさめるような蒼の豪奢なマントを纏ったカイルに、代々王家に伝わる戴冠宝器が大司教の手によって授けられる。それから光の洪水を浴びてより一層煌めく光彩陸離たる宝石が嵌め込まれた純金製王冠を、新国王の神秘的に輝く金髪の上にそっと被せた。
「神よ、代理人である国王を守り給え」
 レミンスター大司教の厳かな声が大聖堂内に響く。
 続いて、高級官僚や大貴族、軍高官といった列席者たちも「国王を守り給え」と唱和した。その半数以上の顔ぶれは、一新している。国王に次ぐ最高権力者である宰相もまた、先日就任したばかりの男。「国王陛下万歳」――そう言いながら、列席者たちはまるで国葬を営んでいるかのような――暗く、重い、悲痛な表情。
 カイル・ラ・ユースタシュの戴冠式だった。
 カイルは即位する前、父親である前国王を含めた大勢の廷臣たちを処刑。大規模な政治弾圧を行い、宮廷に粛清の嵐が吹き荒れた。
「これで粛清が終わればいいが……」
 列席者の誰かが呟く。だが、誰も返事をしなかった。

 まだ誰も知らなかった。粛清であると思っていたのはただの前座に過ぎず、本当の粛清がこの後に待ち受けていることを。そして粛清が閉幕した後にあるのは、恐怖政治の開幕だった。


粛清の閉幕

(title:scald/ブログより再録)


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