※R18
*蒼国マスカレイド
*フェルゼン×ルーイヒ
家族も帰る場所も生きる理由も名前も無い俺を拾い、傍に置いてくださったお方。
あの時、己の命も心も全てを捧げると決めたのだ。
──貴方に触れたい。
言葉にして声に出さずとも、乞うように貴方を見つめる双眸がそう言っていることに自分で気付いていた。
「ルーイヒ殿下、」
僅かな光で変わる琥珀色のような黄金色のような色合いの眸も、銀糸のような金糸のような艶やかな髪も、少女のようであり少年であるその中性的なその容貌も。他に類を見ない神秘的なものであり魅惑的なものであり、何よりも俺にとっては煽情的なもの。
ルーイヒ殿下はソファに腰をかけたまま、緩慢な身のこなしで長いドレスの裾から足先を差し出す。足元へとハイヒールを脱ぎ落し、手入れの行き届いている足の指先で、俺の唇の形をかたどるようになぞった。
「皆はお前の事を人形だと言うが、まるで犬みたいだな」
白い手袋を脱ぎ捨てた生身の手で、目前の肌に触れ足先を掬い持つ。逸る気落ちを抑え付け、言葉通り犬のごとく主人の足の爪先へ唇を寄せた。それだけでは歪んだ感情は満ち足らず指を咥内に含む。指と指の隙間にも舌を捩じ込み、一本一本丁寧に舐めた。
時折震える足の指を全て舐め尽すと、指先から足の甲へと唇を這わせていく。裾から覗く雪の様に白い素肌は、陶器の様にきめ細かくて美しい。情欲をそそられる踝から膝へと舌を這わせ、普段拝見することも触れることも叶わない脛に──口づける。
ただのキスといえば、ただのキス。
王女と近衛兵。
崇拝、隷属、服従。
それ以上でもなくそれ以下でもない。
のぼせあがった頭の熱と下半身へ集まった熱は、そう簡単には冷めてくれるわけがなく。布越しでも分かるほどその存在を主張してくる。
自室に戻るなりその場で扉に寄りかかり、ベルトに手をかけた。
「……っ…」
掌で包み込んだ陰茎はすっかり熱を帯び、早鐘を打つ心臓に合わせて脈打っている。先端は既に透明の粘液で少し濡れていた。初めて脚に触れることが出来たあの日以来、持て余した情欲を手淫で慰めるようになったからか、己の手であっても性器は膨張し反応を示す。
潤いを湛えた黄金の双眸、ほんのり紅潮した頬、唇から零れる熱い吐息、艶めかしい素肌を思い出す。足だけでなく身体の隅々まで口づけ愛撫をしたら、どのような表情を見せ、どのような嬌声を零すのか。尽し、悦ばせたい。挿れさせてくださいと懇願すれば、臣下の欲を満たし願いを叶えてくれるのだろうか。
卑しい劣情は収まる事を知らず、性器を握り締めて品のない行為に没頭した。後頭部を扉に押し付け、そのままズルズルと床へと座り込む。先端から溢れでる先走りが、指の隙間から伝い流れ薄い色素の茂みを濡らしていく。
「っは……あ……殿、下……っ」
掌へ吐き出された精液は、どこまでも白く濁っていた。
脛・足の甲・爪先にkiss
(崇拝、隷属、そして服従)
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