思わぬ乱入者
「は?...佐助さん……?」
え?何でここにいるの?何してんの?どうやってこの場所が?電車乗ったの?よく教室までわかったね?
瞬時にいろんな疑問が頭の中を駆け巡ったけれど、あまりに唐突過ぎて言葉として出なかった。
それは横にいた彼らも同じようで、突然の第三者の登場にぽかんとしている。
「アキちゃん、お昼食べちゃった?」
「え、や...まだ」
「よかった。朝元気なかったからさ、様子見に来たついでにご飯作ってきたんだ」
間に合ってよかったーっとニコニコする佐助さん。さすがにお母さんでもわざわざ大学にお弁当届けたりしないよ?っていやちょっと待て今突っ込むべきはそこじゃない。色々待って。何この状況。
「アキ...この人誰?朝って...」
いち早く我に返ったらしい春人が聞いてきた。何を邪推したのか、口調は少し不機嫌そうだ。いやいや、なんであんたが不機嫌なのよ。
だけど、正直彼らに構ってる余裕はなかった。顔といい髪色といいスタイルといい、佐助さんは目立ちすぎだ。そりゃざわざわするわ。視線が痛い、主に女子の。
このまま教室にいるのは大変よろしくない。部外者扱いで警備を呼ばれでもしたら面倒だ。
「佐助さん、ちょっと来てください!」
「あ、おいアキ...、」
何か言いたげな春人を無視して、佐助さんの腕を引く。人のいないとこって何処だ...!
バタバタと教室を出る。間際にちらりと見えた陽菜の顔が、ぞっとする程歪んでいた。
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裏庭につき、適当なベンチに腰掛ける。結局全く人がいない場所が見つからなくて、今も遠巻きにチラチラと視線がうるさい。
まぁ、ベンチとの距離は遠いから話が聞かれることはないだろう。ここまで来るのに、今までの人生で1番目立った気がする。めっちゃ気疲れした。
「はぁ......で、何でここにいるんですか」
「だって様子変だったから」
朝のため息を言っているのだろう。また、気を遣わせてしまったのか。
「よくここがわかりましたね?」
「アキちゃんが家出るとき、分身に追わせたからね」
「分身...??」
「そ、影分身」
得意げに笑ってみせた佐助さんに思わず頭を抱えた。影分身て。忍者の十八番のイメージではあるけど……さすがにファンタジーだってばよ。
物理的に不可能でしょ。
信じられないというのが顔に出てたのか、佐助さんはむっと口を尖らせて、何ならやってみせよっか?と言う。
勘弁してくださいこんな人のいる場所で。ほんとに出来ちゃったら大騒ぎだ。
「で、でも!私ここまで電車だったんですよ?切符の買い方とか、分からないですよね?」
「でんしゃ...?ああ、あの蛇みたいなやつ?乗ってないぜ。追っかけた」
What???
追っかけた……??
もう話についていけない。
「お、追いかけた…って、下手したら100キロくらい出てるんですよ!?人間の足がかなうわけないじゃないですか」
「確かにちょーっと速かったけど、俺様の足にかかればってね」
いい運動になった〜と伸びをする佐助さん。確かに、いつだかのニュースでひと駅分競争して走りきった駅員さんがいたとか。どこぞの農業系アイドルが電車と競争したりとかあったけども。私が乗ってたのはひと駅どころじゃない。
涼しい顔してるけど、もしかして佐助さんはとんでもなく人間離れしてるんじゃないだろうか。現代の人間技の範囲を今一度教えておく必要がありそうだ。